咲-saki- 長編夢小説
□東一局
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「久々に顔出して行こうかなー。」
バン、ドアを閉める。自分の車から降りた私は、車の鍵を空中に投げながら呟いた。
「やっほー。おじゃまするよん。」
「いらっしゃい…って久々じゃのう、千鶴さん。」
私が高校のときにバイトをしていた近所の雀荘、Roof-topに行くとその雀荘の娘さんがメイド姿で迎えてくれる。
バイトのときは私もメイド服着てたけどね。
「私だってたまには顔出しに来るよぉ。ひさびさにまこちんと打ちたいな。」
「はいはい…。あんさんの打ち筋はようわからんから苦手じゃ。」
苦笑しながらも卓に案内してくれるまこ。
その先にはすでに見知った顔が席についていた。
「ほら来たでしょ。もう少し待ってみるものだって言ったじゃない。」
「まったく、お前の悪待ちには呆れさせられるよ。」
「なんか…いつもいるよね藤田っち…。プロなのに暇なの?」
苦笑を浮かべながら気まずそうにパイプを加えるオネーサン…もとい、藤田プロ。
ここの常連さんなため、自然と仲良くなった。
「久もいいの?春休みもうすぐ終わっちゃってすぐに部活勧誘するんでしょ?」
ちゃんと考えてあるわよ。なんていいながら卓の牌を触る竹井久。
まこと同じ清澄高校で麻雀部を守っている。今年こそは団体戦に出たいと燃えているようだ。
私は久の隣に座る。メイド服姿のまこを入れて今日もいつもの面子での麻雀だ。
一昨年の今頃だっただろうか。懐かしくて思い出してしまう。
久と会ったの、あの頃を。