咲-saki-千里山side 長編夢
□第一章
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「ただいま。」
インターミドルを終えて家に帰ってきた。
あの後、のどかとアドレスを交換して帰り中ずっとメールでやり取りしていた。
なんでもネット麻雀をやっているらしく、病室でもできそうだから私もやってみようかな、なんてたわいも無いやり取りをしていた。
登録だけ済ませて、登録名を送ったら『「ゆいにゃん」とはなかなか可愛い名前ですねっ!わたしは「のどっち」でやっています。』だって。
ちょっとした有名人らしいし…。あとでちょっと調べてみよう。
「おかえり…。」
消え入りそうなウィスパーボイス(いや、割と私もそうだけど。)でお出迎え。
「姉さん、ただいま。ごめん…決勝前で倒れてしもて…。」
「やから言うたやろ。私みたいに病弱なんやから長い時間は無理やって。」
他人に言わせれば病弱アピールなんだろうけど、姉妹そろって病弱だし体力的にきついのは自分が一番良くわかってるつもりだ。
「ごめん…。でも、やっぱり麻雀うちたいk」
「あんたにしてはようやったね。」
私の言葉をさえぎって姉さんは頭を撫でてくる。
いつ振りだろう、こんな風にやり取りするのは。
「あんたが入院してる間はつまらんわ。いつかは一緒に打ちたいね。」
じゃぁ検査行って来る、と入れ違いになる形で姉さんは出かけてしまった。
「一緒に打ちたい、か……。」
姉さんからはじめて聞いたな、と思う。
お互い体力が無いし二人で麻雀なんて夢にも思ってなかったけど。
「千里山、受かるかなぁ…。」
当面は勉強のほうが大変です。