▼7人と1人の転校生。
□【標的7】
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「――あのな…。オレたち、
引っ越すことになったんだ。」
父は静かな声で呟く。
「ひ…っこし…?そ、そんな、まだこっちに来て日にちは経ってないよ!?」
結梨は信じられないような目で父を訴えるが、
「仕方ないんだ、分かってくれ…。」
父は、申しわけなさそうに呟くが、
「嫌よ、そんなの、あたしっ……、
ここに残るっ!!」
結梨はキッパリ、と言い放った。
「なっ…、結梨!何を言ってるのあなたは!もう…、無茶よっ!」
後ろから母が割り込んできたが結梨は構わずに、
「いいの!あたしは残りたいの!どうしてもっ!」
結梨は目になみだをうっすら浮かべながら、叫ぶように言い放った。
「――……そうか。ならば――。」
父は静かにぽつり、と呟いた。
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「――はあ…。」
結梨はただいま、家の近くの公園をぶらついている。
「まさか、お父さんがあんなことを言うとは…想像外だったなぁ。」
ため息混じりで呟くと、近くで人が歩く音がしたのか、結梨は公園の入り口に目をやった。
――そこにいたのは、アーデルハイトだった。