▼7人と1人の転校生。

□【標的9】
1ページ/7ページ




「おはようございます、炎真。」





声の主のアーデルハイトは、朝食を作りながら炎真に声をかけていた。





「おはよ…、眠い。」





炎真は眠たそうな目をこすりながらイスにかける。





「オッハヨ〜、今日も張り切るとすっかな〜。」




のん気な声を上げながら背伸びをするのはジュリーだった。





「…また、今日もパチンコ?」




いつものことなのか、呆れた口調で尋ねる炎真に、




「そっ♪よく分かってんね〜。アレ、結梨チャンは?起きてねーの?」




炎真の問いに答えながらもリビングにいる人たちを見回すと、



結梨以外全員が起きていたのか、尋ねるジュリーに、





「結梨は結局まだ寝ているようだな!僕が起こしてやろう!」




そういうとガタッ、とイスから立ち上がり結梨の寝室へと歩き出すのは紅葉だった。




「オイオイ、抜け駆けは許さねーぞ。オレも起こしにいくよん♪」





そういうと紅葉についていくように歩き出すジュリー。





アーデルハイトは2人のやりとりを見、ため息をつきながら、





「炎真、いいのですか?」




と炎真に問いかけるも、炎真の答えは、




「別に、大丈夫。あの2人、変なことしないと思うし。」




自信あり気な声で呟いたのだった。







**********************************



コンコンッ。




ノックのする音に結梨は気づかないまま眠っていたのか、




「おい、どーするよ?さすがに開けるのはちょっと気が引けるけ…オイッ!」





ジュリーが紅葉に向かって尋ねている途中に、紅葉は勝手にドアを開いたので、




ジュリーは慌てて止めようとしたが遅かった。




「構わん!普通にたたき起こせばいいだけの話だからな!」




そういうとつかつか、と結梨のベッドに近づき起こそうとするが、




「…むにゃ……。zzZ…。」





結梨の寝顔を見た瞬間、起こす気を失せたのだった。





「オイオイ…何してんだよ紅葉。早く起こせっつうの。」





半ば呆れた表情を浮かべながらジュリーも結梨のベッドに近づき、結梨の寝顔を見るなり、





「……何か、起こす気失せたんだけど…。どーするよ?」




ジュリーの問いに紅葉はグッ、と拳を握りながら、





「仕方あるまい!時間もないのだからな!結局起こすしかないだろう!」





そういうと起こそうと伸びる手をジュリーが差し止める。





「待てよ、オレにいい考えがあるぜ。見てろよ。」





そういうと、結梨の耳元で、





「結梨チャン、起きないと襲う……グアッ!!





言いかけたそのとき、紅葉の拳がジュリーの右頬に飛んで来たのか、ジュリーは飛ばされてしまった。





「何すんだよ!せっかくいいところだったのに!」




右頬を押さえながら荒い声で叫ぶジュリーに、




「貴様!!結局貴様というヤツは!!」





紅葉は怒り+呆れた口調で言い放つ。





「ウッセーな!ふざけただけだろ!」





「ふざけるのも大概にせんかっ!」






ギャーギャー、ドタバタドタバタ、と激しい音を立てながら言い合い+殴り合いを始めた2人。






「……なんか、向こう騒がしい。僕見てくる。」





ガタッ、とイスから立ち上がるとアーデルハイトに声をかけると結梨の寝室に向かった炎真。




「ええ、お願い。……また紅葉とジュリーの殴り合いでしょうね。」




アーデルハイトはため息混じりでぽつり、と呟く。





SHITT・P!と水野薫、大山らうじは、目を合わせてこくり、とアーデルハイトに同感するように頷いたのだった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ