▼7人と1人の転校生。
□【標的9】
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「おはようございます、炎真。」
声の主のアーデルハイトは、朝食を作りながら炎真に声をかけていた。
「おはよ…、眠い。」
炎真は眠たそうな目をこすりながらイスにかける。
「オッハヨ〜、今日も張り切るとすっかな〜。」
のん気な声を上げながら背伸びをするのはジュリーだった。
「…また、今日もパチンコ?」
いつものことなのか、呆れた口調で尋ねる炎真に、
「そっ♪よく分かってんね〜。アレ、結梨チャンは?起きてねーの?」
炎真の問いに答えながらもリビングにいる人たちを見回すと、
結梨以外全員が起きていたのか、尋ねるジュリーに、
「結梨は結局まだ寝ているようだな!僕が起こしてやろう!」
そういうとガタッ、とイスから立ち上がり結梨の寝室へと歩き出すのは紅葉だった。
「オイオイ、抜け駆けは許さねーぞ。オレも起こしにいくよん♪」
そういうと紅葉についていくように歩き出すジュリー。
アーデルハイトは2人のやりとりを見、ため息をつきながら、
「炎真、いいのですか?」
と炎真に問いかけるも、炎真の答えは、
「別に、大丈夫。あの2人、変なことしないと思うし。」
自信あり気な声で呟いたのだった。
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コンコンッ。
ノックのする音に結梨は気づかないまま眠っていたのか、
「おい、どーするよ?さすがに開けるのはちょっと気が引けるけ…オイッ!」
ジュリーが紅葉に向かって尋ねている途中に、紅葉は勝手にドアを開いたので、
ジュリーは慌てて止めようとしたが遅かった。
「構わん!普通にたたき起こせばいいだけの話だからな!」
そういうとつかつか、と結梨のベッドに近づき起こそうとするが、
「…むにゃ……。zzZ…。」
結梨の寝顔を見た瞬間、起こす気を失せたのだった。
「オイオイ…何してんだよ紅葉。早く起こせっつうの。」
半ば呆れた表情を浮かべながらジュリーも結梨のベッドに近づき、結梨の寝顔を見るなり、
「……何か、起こす気失せたんだけど…。どーするよ?」
ジュリーの問いに紅葉はグッ、と拳を握りながら、
「仕方あるまい!時間もないのだからな!結局起こすしかないだろう!」
そういうと起こそうと伸びる手をジュリーが差し止める。
「待てよ、オレにいい考えがあるぜ。見てろよ。」
そういうと、結梨の耳元で、
「結梨チャン、起きないと襲う……グアッ!!」
言いかけたそのとき、紅葉の拳がジュリーの右頬に飛んで来たのか、ジュリーは飛ばされてしまった。
「何すんだよ!せっかくいいところだったのに!」
右頬を押さえながら荒い声で叫ぶジュリーに、
「貴様!!結局貴様というヤツは!!」
紅葉は怒り+呆れた口調で言い放つ。
「ウッセーな!ふざけただけだろ!」
「ふざけるのも大概にせんかっ!」
ギャーギャー、ドタバタドタバタ、と激しい音を立てながら言い合い+殴り合いを始めた2人。
「……なんか、向こう騒がしい。僕見てくる。」
ガタッ、とイスから立ち上がるとアーデルハイトに声をかけると結梨の寝室に向かった炎真。
「ええ、お願い。……また紅葉とジュリーの殴り合いでしょうね。」
アーデルハイトはため息混じりでぽつり、と呟く。
SHITT・P!と水野薫、大山らうじは、目を合わせてこくり、とアーデルハイトに同感するように頷いたのだった。