▼other..
□怪力。
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「……はぁ。」
「どうした?静雄。」
「いえ、何でもないっス。」
トレッドの髪型をした青年が静雄の様子に気づき、声をかけるも、
静雄は何ともない様子を見せた。
「(はぁ…、しっかりしろオレ。)」
静雄は自分の頬をバシッと叩いた。
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「あ゙ー…いつもの一つ。」
静雄は仕事を終えると、ファーストフードでコーヒーを注文していた。
「ありがとうございました。」
店員は笑顔でカップを静雄に手渡した。
静雄は受け取るなり店から出て行った。
「あっ、臨也!」
――ビキッ。
声の主より"臨也"という単語に静雄は、青筋を立てていた。
「い ざ や だとぉ〜?」
静雄はバキッ、と音を立てながら標識を折り武器にし、戦う準備を済ませていた。
「うわ、シズちゃんいたんだ。オレ、
優佳にだけ用あったのになぁ〜!」
「―っ、優佳?」
臨也の言葉に静雄が反応したのか、臨也に目を向けるとそこには、
静雄の彼女である優佳の姿があった。
「あーシズちゃんっ!」
「な、その呼び方するんじゃねぇ!臨也を思い出すだろ!」
優佳の呼び方にイラつくように言い放った静雄。
「えー、可愛いじゃんっ!」
優佳は残念そうに呟いていた。
「まったくシズちゃんってば、相変わらず頭が堅いね〜!
じゃ、優佳ちゃん行こっか?」
臨也は優佳にそういうと、優佳の手を引っ張ろうとしたが、
「テメェ…、何気安く優佳の手を触ろうとしてんだよっ!!」
静雄が優佳の腕を引っ張り自分の胸におさめた。
「し、静雄っ。」
優佳は驚きながら、静雄を上目遣いで見つめていた。
「あ〜つまんないなぁ!――まあ、いつかシズちゃんの制御がきかなくなり、
優佳ちゃんを傷つける前に奪うからね♪」
臨也はそういうと渋谷を後にした。
「あのヤロウ…ふざけやがって!」
「落ち着いてよ、静雄。」
優佳は苦笑を浮かべながら静雄をなだめた。
「分かってる。」
静雄がそういうと、背中を見せながら、「お前も早く帰れ。」と冷たく言い放った。
「シズちゃん……。」
「…その呼び方、すんじゃねぇ。」
静雄は吐き捨てるように言うと、優佳とは反対の方向へと歩き出した。
「(シズちゃん…、最近冷たい…。あたし、なんかしたのかな……。
それとも、冷めてきたとか…?)」
優佳は心内で呟くと、ため息を漏らした。