▼other..

□口実。
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「紅麗様紅麗様っ!」



「何だ?騒がしい。あと様は要らないと言ったはずだ。」



「で、でも……。」




「命令だ。」



「はい……。あっ、そうそう紅麗様!」



「……私の話を聞いていたか?」



「「「……………。」」」



優佳は紅麗の部下だった。
紅麗に好かれているが、優佳は鈍いため気づかない。


音遠、雷覇、磁生は呆れの表情を浮かべていた。



「任務終えてきましたー!」



「ああ、ご苦労だったな。しばらくは休んでおけ。」



「えっ?じゃ休みに何をすれば…?」



優佳は最近麗に入ったばかりなのか、休みをもらったことはなかったのだった。



「自由にして構わない。」



紅麗の言葉に更に悩む優佳だったが、



「わかりました。じゃ失礼します。」



優佳は頭を下げると部屋を出て行った。



「紅麗様、いいんですか?優佳と一緒に休みを……。」



「音遠。どうするか決めるのは、私の勝手だ。」



「…失礼、しました。」



音遠は謝罪の言葉を述べながら頭を下げた。



「失礼しますわ。…何この雰囲気?何かあったんや?」



ドアが開き、そこにはジョーカーがいた。



「ジョーカーか…。」



「何や、残念そうにゆわんといてや。ワレも任務終えたんや。
てなワケで、休み貰てもええんかいな?」



「…構わん。」



「ほな休み中に優佳ちゃんと出かけよかな。」



ジョーカーは口角をつりあげながら言うと、部屋を出て行った。



「(このバカジョーカーっ!空気を読みなさいよ!)」



「(さすが紅麗様に遠慮しないんですね、ジョーカー。)」



「(全く…、紅麗様を怒らせんなよ。)」



それぞれが心内で呟いていた。



「……音遠。」



「はっ、はい!何でしょう!?」



突然呼ばれ、音遠は吃驚しながら立ち上がった。





「食糧はどうなっている?」




「!! ちょうどしょうゆと、卵が切れています。」




音遠は紅麗の目的が分かり、楽しそうにハキハキとした声で言う。



「買い出す仕事、私が引き受けよう。」



紅麗はそういうと、部屋を出て行った。



「やはり気になっているようですね、紅麗様。」



「分かりやすいですね〜。」



「この恋の行方が気になるな。」



紅麗が去ったあと、残された音遠、雷覇、磁生はニヤニヤと楽しそうに話していた。




****************************




――優佳の部屋。



「うーん…、ゴロゴロしろってことかなぁ…?
でもやっぱ、任務をやったほうが退屈しないなぁ…。」



優佳はベッドの上で、ゴロゴロしながら悩んでいた。




――コンコンッ。




「紅麗だ。入らせてもらうぞ。」



紅麗はそういうと、ドアを開けた。



「くく、紅麗様!?」



優佳は吃驚しながら起き上がった。



「休みに何をすればいいのか悩んでいるようだな…。任務を与えよう。」



「ホントですかっ!何でしょう!?」





「私と一緒に買い物をすることだ。」




「か…買い物?」



優佳はきょとん、としながら尋ねた。




「そうだ。準備が終えたら、私の部屋に来い。」



紅麗はすばやく言うと、優佳の部屋をあとにした。



「じ、準備って…!?」



優佳は慌てながら、服を着替えると、部屋を出て行こうとした。




「優佳ちゃん、おるんかいなー?」



ジョーカーがドアの前で声をかけていた。




「ジョーカー?どうしたの?」



「今、暇してるやろ?自分と出掛けへん?」




ジョーカーはニヤリと笑いながら言った。




「あ、今はちょっと……。」



「何や、用事でもあるんかいな?」



戸惑う優佳にきょとん、とするジョーカー。






「優佳は今から私と買い出しをしに行く予定なんでね。」




後ろから声をかけたのは、紅麗だった。



「紅麗様!」




「あちゃ〜、先を越されてもーたわ。」




残念そうに呟いたのはジョーカーだった。




「お前はゆっくり休んで構わない。」




紅麗は優佳の手を引っ張りながら、玄関へと向かった。




「なんちゅー敗北感やわ。だが次はそういかへんで?」





ジョーカーはニヤリ、と笑いながら言った。
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