復活小説

□他校のあの子。
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「――あ、猫だ!」





優佳は学校の帰り道の河原で、捨てられた白猫を見つけたのか近寄った。





「かわいーなぁ…、でもお母さん猫アレルギーだから飼えないんだよなぁ。」





優佳はため息混じりで呟きながら、猫を撫でた。





「そうだ、ミルク買ってこよ。」






優佳はすくっ、と立ち上がり近くのコンビニへと飛んで行った。






――数分後。






「おまたせー……あれ?」





そこには、猫を撫でている少年がいた。





「こんにちはー。」





「……あ、こんにちは。それ、ミルク?」





「そう、この猫にあげるんだよー。」





「…やさしんだね。」





少年はやんわり、と微笑んだ。





「あ、そんな…普通のことですよー。
それより…顔、大丈夫なんですか?」






少年の顔には、絆創膏や傷テープが貼られていた。




「ああ、よく転ぶんだ。」





少年は苦笑を浮かべながら、嘘をついた。





「そうなんですか?ドジですねー、ツナみたい!
あ、ツナっていうのは私の幼馴染…ってこんなことはどうでもいいか。



さー、おまたせ。」





優佳はそういうと、猫の手前に小さなお皿を置き、ミルクを注いだ。





「舐めてる…。」





「よっぽど腹が減ってたのかな?それとものどがかわいてたのかなー?」





「…両方じゃない?猫、好きなの?」





「うん、好きだよー。
でもお母さんがアレルギーで飼えないのが残念。」





少年の問いに、優佳は残念そうに呟いた。





「そうなんだ。残念だね。…あ、もう僕いくね。じゃあ。」





「うん、ばいばい。」





少年はそういうと立ち上がり、その場を去った。





「変わった子だったな…、制服もみたことないし、誰だろう?」





優佳は呟きながら、自分も帰路への道を歩き出した。
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