復活小説

□ティーカップ。
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「えーんまっ!お邪魔しまーす!」




「お邪魔します!」




優佳とツナは、炎真たちのいるシモンの島にやってきた。





「……優佳にツナ君…。ゆっくりしてって。」




炎真の声は、驚くほどトーンが低く、冷たかった。




「え、炎真?」




「…じゃあ。」




炎真はそういうと、自室へと向かった。




「えええ!?どどどうしたの炎真!?」




優佳は慌てて炎真に声をかけるが、炎真は無視したまま消えていった。




「すまない!!」




そこには、なぜか土下座をしている紅葉の姿があった。




「え、いや、すまないって…へ?」



「??青葉さん、どうしたんですか?」




2人は頭の中に疑問符を浮かべながら尋ねるが、
紅葉は黙ったまま土下座を続行していた。





「アーデル、今どういう状況なの?まったく分からないんですけど…。」




「お…オレも…。」




優佳とツナは苦笑を浮かべながら言う。




「ええ、説明しますね。実は――、

あなたと炎真のおそろいのティーカップが、
紅葉の手によって壊されたのです。





「…………ティーカップが、壊れた…?」




「……だから、エンマ君は怒ってたんだ…。」




「えええっ、あのティーカップが!?壊れただけで!?」




「どうやらエンマは、ティーカップを大事にしていたそうなのです。」





驚く優佳に、アーデルハイトが付け加えた。




「そ、そうなんだ。恥ずかしいけど、嬉しいな…。じゃなくって!


今炎真、すごい激怒してますよね?
あの冷たい声とか表情とか、静かに怒るタイプですよ!?





「ええ、そのようね…。」





「すまない!わざとではないんだ!」





紅葉はまた、額を床にこすりつけるような勢いで土下座をしていた。





「あ、あたしは気にしてないです!だから土下座やめてくださいよ。

それより炎真の機嫌を直すほうが先でしょ?」




「……本当にすまなかった。あんなに怒るとは思わなかった。」





紅葉はそういいながら立ち上がった。





「うん、あたしも吃驚したよ。それほど大事にしてたんだね…。」




「とりあえず、今は優佳がエンマ君に話をしたらどう?」




ツナが案を出し、優佳がそれにのる。




「うん、そうだね。炎真の部屋にいってきまーす!」




優佳はそういうと炎真の部屋へと向かった。





「…それほど大事にされてるんですよね、優佳は。」




「ええ、そのようですね。」




「それよりティーカップの弁償のことだが……。」





「もちろん自腹ですよ。」




紅葉の言葉にアーデルハイトがキッパリ、と言い放った。





「……アハハ。」




ツナは苦笑を浮かべるしかなかった。
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