美柳町行きバス停
□ETCの王子様!
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私は、綾峰学園の教諭。
2年3組の担任で、バレー部の顧問です。
今日は、練習試合の引率に行ってきました。
今は、その帰り道。
「心結ばいばーい」
「バイバイ」
また一人、お別れ。
学校まで行かなきゃいけない私を合わせて、残りは5人。
キャプテンの心結(みゅう)ちゃん。
エースの麻田コロナちゃん。
転校生の月並ななこちゃんと、その幼馴染の下条詩織ちゃんです。
・・・・・・ん?
何か不思議です。
クサい?何の匂いでしょう。
私だけじゃなく、皆も言い始めました。
なんか臭くなーい?」
「えー、分かんないよー」
「でもさー、あたし的には臭うなー」
「そうかなー……」
心結ちゃんには分からないんでしょうか。
匂いっていうか、臭い。
腐ったお酢よりもクサい、悪臭です。
「そうだってばー。ヒロちゃん先生も思うでしょ?」
コロナちゃんに尋ねられた私は、大きく頷きます。
「……かなり臭いかも」
「やっぱり!?うちもそれ思ってたんだけど」
「ウチも嫌な臭いするわ」
詩織ちゃんとななこちゃんも続きます。
最初、変な顔をしていた心結ちゃんも、とうとう顔をしかめました。
何の匂いだろう?
不安になると、皆一斉に騒ぎ始めます。
そうなると、私は大変。
「と、とりあえずスーパーの前で落ち着きましょう?」
万が一のことがあったら、責任を取るのは教師である私なんですから。
始末書、なぁんてとんでもないです。