美柳町行きバス停
□ETCと僕
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「心結ばいばーい」
「バイバイ」
夜詩に別れを告げ、私は歩き出す。
「家遠いよねー」
「だよねー!?もーおかしいんじゃないのって感じ」
練習試合の帰り道だった。
あたしは、麻田コロナと隣に並び、帰宅しようと一心に歩いていた。
徐々に人数は減っていき、今はもう、あたし、コロナを含む4人と、顧問の真種先生しか残っていなかった。
3年生も引退し、1年生もバレー部の雰囲気に慣れたところ。
レギュラー争いだって、2年生は7人だからリベロをつければ問題なく全員がコートに入れる。
だから部内の友人関係はどちらかといえば良好だったし、大会もしばらくない。
つまり、一番平穏な時期のことだった。
「シオ、明日絶対忘れんなよー!?」
「分かってるってば」
「だってお前信用できひんねんもん」
「えー、ひっどー」
後ろでは、ななこと詩織が言い争っている。
でもあそこはなんだかんだ言っても幼なじみだから、心配ない。