無人探査機

□ゴッドファーザーズ物語
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結論から言うと、ものの三日もしないうちに見つかりました。
あれ、波江はホームレスなんだけどな。
「ここじゃないかしら?」
矢霧製薬の人(多分波江の部下)に教わった住所。
そこはボロアパートの一室だった。
「幸子さんいますかー?」
チャイムも押さずにずかずかと押し入る正臣。
意外にも鍵は空いていて、中には一人の女。
「ひぃっ……!」
帝人の抱いている赤ん坊を見るなり、なぜか逃げ出そうとする。
「待ってくださ……」
純粋に引き留めようとする帝人を制し、波江が一言。
「矢霧製薬って知ってる?」
刹那、彼女は微動だにしなくなる。
と思いきや、いきなり床に両手両膝をついた。
「ごごご、ごめんなさいっ! そんなつもりじゃなかったの! だから、警察だけは……」
「警察?」
不穏な言葉に、正臣は首を傾げる。
「極秘情報だけど、清子はあいつの子じゃないわね。あいつが病院から盗んだの」
まさかの展開に、正臣はなんとも言えない。
「……本当なんですか?」
「ええ、でもどうかお願い! 警察だけは……」

ぱぁぁん。

幸子が弁解の言葉を言い終わらないうちに、帝人が綺麗な平手打ちを決めていた。
「警察は、いいよ。でもこの子――清子は、両親に返してあげよう」
頬が赤く染まった幸子は、何も言えずただ頷いた。
「でも、どうやって?」
「波江さんの親戚に、警察いなかったか? 丁度いいじゃんか、家出中だろ? 和解のシルシ」
正臣が無駄に爽やかな笑顔を向けると、波江はただ溜め息をついた。
「そんな設定なのね……」

さて。
そんなこんなで、一騒動。
正臣と帝人は、幸せに暮らしましたとさ。
波江も、愛しい弟に会いに行きましたとさ。

……おしまい。
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