無人探査機
□終焉の始まりの始まり
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「見て、りのちゃん。そこらじゅう火でいっぱいだ!」
「ほんとだね、めらめらしてるよ!」
「でも見て。……きれいな空だね」
そこには、地上で繰り広げられている醜く下等な諍いを嘲笑うが如く、都会には珍しい満天の星空が広がっていた。
いつの間にか、日本は夜の時間へと突入していた。
「ほんとだぁ。流れ星、ないかなぁ」
「ぼく、流れ星に“りのがおよめさんになってくれますように”っていう!」
「ほんと? りのわー、お星さまにみとれちゃって、おねがいできないよ」
しかし、そうこうしている間にも着々と魔の手は近づいてきていた。
死者53名、負傷者は400名を越えた。
警察と自衛隊の力の差は歴然で、機動隊は苦戦を強いられていた。
更に、某国の圧力によって石油が止まり、それに追い討ちをかけるようにその他あらゆる輸入品のストップを検討している、という情報が入った。
予想に反し、機動隊はかなり奮闘しているが、戦線崩壊もあり得える事態へと発展していった。