無人探査機
□終焉の始まりの始まり
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そうして暫し無駄話に花を咲かせていると。
「ねえ、あの人達もお姉さんの仲間?」
と少女が口を挟んできた。指差す方を見ると、明らかに違う服装の男が幾人。無論、武装はしている。
「自衛隊や……。桃瀬、こいつら連れてくれ」
「海山先輩は」「行け!……命令や」
「……はい。りのちゃん、双鳴くん、急いで!」
「はい!」
――刹那、
「ねえ見て、こねこ!」
と少女は走り出す。
「自分、戻ってこい!」
「危ないわよ!」
「りのっっ!」
打っちまえ。
某国の自衛隊隊員は、三尉の若手自衛官は、確かにそう言った。
まるで日本人の様に流暢な日本語だ、などと考える余裕さえ少年にはあったのに。
そしてまた、――刹那。
一瞬、世界の音が全て止んだかに思えた。
風が頬を掠めた。
少女が静かに倒れた。
少年は桃瀬に目を覆われ、何処かへ連れられたので記憶は明確でない。
だが今でも覚えている。
2人の女性。梨乃。かぐや姫。猫のこと。紅い血のことも、全部――。