無人探査機
□空を見上げてビー玉と雲
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友達100人なんてできなくてもいいから、100人分大切にできるような本当の友達を作りなさい、か。
どこの小説で聞いたセリフだったんだろう。
最近読んだライトノベルじゃないだろうか……と思考を張り巡らせてみる。
だけど私にはそんなこと分かる必要はなくて。
いや、仮に分かってもそれで世界の何かが変わるわけでもないから、別に変わらなくても良かったんだと思う。
だけど、私はこのセリフが嫌いだった。
「綺麗な、空……」
空だけが私の友達。
この学園の温室近くにある、庭園のベンチから見上げる空は、特に綺麗だった。
昼休みは、大抵ここに来る。
1人でお弁当を食べながら、空を見上げる。
休み時間も、移動教室でない時は、できるだけ空が見えるところへ行く。
私の席は窓際じゃないから、空は見えない。
会社では窓際部署、なんて行ったら良いイメージはないけど、高校だったら話は別。みんながみんな、窓際を狙ってた。
空が見たい、というのもあったけど、実際を言えば教室にはあまりいたくなかった。
「友達、か」
独り言だけど、つぶやいてみる。
そんなもの、できたことなんてない。
自分から話し掛けるのが、苦手だったから。
今年。また新しいクラスになっても、私は変われなかった。
「友達が欲しいの?」
「……え?」
だから、いきなり話し掛けられた今、何もできずに硬直している。