無人探査機
□終焉の始まりの始まり
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時は――20××年。
街が紅く染まる、夕暮れ時のこと。
「ここだ……! ここに逃げ込もう!」
そこは、図書館。
「ここわ、安全なの?」
幼い少年と少女の声だけが薄暗い館内に響き渡る。
「分からない……。でも今は、」
「これでいいんだよねぇ、そーくん?」
背景は、自衛隊陸軍と警察機動隊の抗争。
舞台はここ、夜桜(やおう)西町より南西5kmの荒野だった。
某国(沖縄、横須賀等に基地を持つ国だ)の操り人形と化していた自衛隊の権限を抑えるべく、警察が国家とグルとなり圧力をかけた。その結果某国が反発、挙句に全面戦争となったのだ。
しかし何があったかなど、幼い少年と少女に分かるはずもなかった。
分かったのは、命の危険だけ。
その尋常ではない爆発音、警報、銃声。なにより周囲の慌てぶりに不安を覚え、図書館へ逃げ込んだのである。