先立つものは問題なのです。
□第一章†3
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「何から聞きたい?」
焦れた様に洸紅は言った。
焦れては無いんだろうが、あからさまに不機嫌で、口を尖らせた。
艶々の口唇が俺を誘っている。
そう思ったのは俺だけだが、確かにそう感じた。
しかしこれは何の前フリでもなく只の感想で、それでも洸紅は可愛かった。
「ねえ、早く」
今度こそ焦れ、洸紅は言った。
俺はハッとし、真面目に考え始める。
そうだな……。
「何故ボディーガードをしているのか。その理由が聞きたい」
他にも聞きたいことは山ほどあるのだが、根本的な解決は、これを解かないと分からないと思う。
すると洸紅は、一瞬面倒臭そうな顔になったが、笑顔で言った。
「長いわよ?」
「別に構うかよ」
「じゃあ……そうね……ねえ貴方、峰梁が最先端の科学技術に携わっていること、知っている?」
それは前述の通り、了解済みだ。
「でも、その認識は間違いね。最先端じゃあなくて、二十年前の技術。その、違いね」