先立つものは問題なのです。

□第一章†1
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ここで少し、

俺がボディーガードになってしまったという

お嬢様・愛原緋也(あけや)のことを
説明しようと思う。


……思うのだが。


よく分からない、
というのが現実だったりする。


峰梁財閥は世界有数のグループで、

歴史保存から最先端の科学技術にまで
手を広げるやり手である。

しかし愛原という苗字。

外部の人間と結婚し、訳アリになった
三十路間近の(あわよくば綺麗な)女性。


……というのが俺の持っていた
一応のイメージであった。


まぁそれなりに不安を抱えつつ、

まだ見ぬ峰梁のお嬢様に期待を膨らませつ つ、
指定された場所へ向かった。


そのときはまだ、
こんなことになるとは


夢にも思わなかっただろう。



俺も
  ヒイロも。



時は淡々と過ぎ、


静けさを増すばかり…。



誰にも先の見えぬ闇の中へ
堕とされている最中とは知らず





ただ人は無情の時を

       過ごすばかり・・・。
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