Short storys
□囚われの女神
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あの人はいつもあそこに立っている。
雨の日も、雪の日でも。
市丸隊長が植えた柿の木の下で。
ただ空を見て立っている。
……市丸隊長がいなくなった、
その日から。
わたしはそんなあの人を
不思議には思っていたけれど、
そこまで気には留めていなかった。
でも、ある日、その人は姿を消した。
今日は市丸隊長の誕生日だったはず。
何があったんだろうとふと思ったけれど。
京楽隊長に呼ばれ、すぐに忘れてしまった。
昼からはあいにくの大雨で、
嫌々ながらも仕事があったので
三番隊へ出向いた。
わたしは人影を見つけた。
いつもの場所で。
人影は、干し柿を手に持っていた。
わたしは……