MONOKURO

□世界は廻る
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 僕らを乗せて世界は廻る。
 ここで止まっているように見えても、僕らはちょっとずつ動いている。
 止まる事は本当に無い。
 もし止まる事があったなら。
 それは世界が終わる時だ。

 世界が終わる前にしなきゃいけないことは本当は沢山あるんだけど。
 「世界が終わるはずが無い」なんていう確信に似た期待を持ってるものだから。
 世界は廻るばかりで。
 僕らは日常を過ごすばかりで。
 もし本当に終わりが来たときには、どうなるんだろう。
 
 終わりが急に来るならば。
 混乱に満ち溢れる。
 そんな、想像のできる終焉を迎えるだろう。
 でも終わりがゆっくり近づいてきているのならば。
 僕らは日常を過ごし、知らない間に終焉を迎えるだろう。
 終焉を迎えた事さえ知らず、ゆっくりと消えゆくだろう。

 ならば運命に抗えばいい。
 終焉に抗えばいい。
 そんな抵抗をしている人もいるだろう。
 ただ、何も考えない、ただ大人になった大人たちは、何も考えず今日を過ごす。
 もしくは、行動を起こさず、今日を過ごす。
 子供は、夢を膨らませる。
 夢を膨らませ、行動できずに終わる。
 子供だから。
 そんな、縛られた世界。

 世界は終わりに向かって廻っている。
 逆戻りする事はないから、確かに終わりに向かっている。
 でも人はそれに抗う事をせず。
 危機感すら持たず日常を過ごす。

 ただ、抗う人もいるだろう。
 ごく少人数。
 世の中からは、変人扱いをされている人種。
 ただその大半は、その明確な筋道を発見できず、「変人」で終わる。
 でももし。
 明確な筋道を見つけられたならば。
 もし、終焉に抗う術を見つけられたならば。
 終焉は訪れないだろうか。

 いや、訪れる。
 その時は回避されたとしても。
 またいつか、訪れるだろう。
 だから抗い続けなければならない。
 人のためにも、自分のためにも。

 これはなにも終焉に限った話ではない。
 例えば、もしこれが学校の統廃合の話でも一緒だ。
 何事にも抗わなければならない。
 だからこそ。



 この物語は成り立つのだ。
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