無人探査機

□ゴッドファーザーズ物語
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「……で、どうしますか?」
波江に気を遣ってか、未だに敬語調の帝人が聞く。
「あれだな、まず、ナンパだ」
「却下ね」
つれない波江に帝人は苦笑しながら、フォローにもならない気遣いをかける。
「カップルばかりで余計落ち込むからやめときなよ」
「……お前の方が酷い」
正臣は更に落ち込むが、波江は気にせず次の提案をする。
「食料調達が先ね。外に出ないと何も始まらないわ」
「そうですね」
「……そうするか」
二人からの(多少消極的な)賛同を得、波江は満足げに外へ出た。
既に空には星が光っていた。

「……で、どうしてこうなるの?」
状況をざっと説明すると、まず波江は帝人を冷ややかに睨んでいて。
当の帝人は赤ちゃんを抱いている。
そして正臣は、そんな二人を見つめて肩をすくめていた。
「き、清子は天からの贈り物だよっ!」
「……そいつ、清子って言うのかよ」
正臣は、二人に聞こえないように溜め息をつく。
なんやかんやで保護者は大変だ。
「でも私達は所詮ホームレスよ? 私達自身、その日暮らしで精一杯」
波江が何を言いたいのか、正臣は分かった。
帝人は、絶対言うと思ったからだ。
ほら、この後も言う。
「で、でもっ! この子を一人じゃおいておけないよ!」
「じゃあ私達の誰かが飢え死にする訳?」
それは言い過ぎだと思ったが、敢えて言わない。
波江は道理だけど、帝人が諦めるとは思わなかったからだ。
「じゃあ僕……じゃない、あたしが死ぬよっ!」
「……あんた正気?」
「勿論。一人でも、育てます」
ああ、ここら辺が潮時か。
正臣はそう感じ、二人の妥協点を模索する。
「じゃあ俺達で親を探して、戻してやろうぜ」
「まあ……賛成でいいわ」
「うん! その人……ぶん殴ってやる」
「「……」」
無邪気な半面、暗ぁい一面を見せる帝人に、二人は沈黙するしかなかった。

「で……手掛かりはあるの?」
できれば早く終わりたい、という様子を隠しもしない波江。
帝人が、手に持った写真を指して言う。
「これも落ちてたけど……女性は『幸子』だね」
「そんなんで分かるかよーっ」
不満たらたらの正臣に、波江は不敵な笑顔で言い放った。
「矢霧製薬って……そういうの詳しいわよ?」
「……お願いします」
どうやら途中はすっ飛ばしてエンドを迎えそうな予感がするんですが……、気のせい?
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