Short storys

□心へ、届け。
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夜、わたしが家へ帰ってくると、
珍しく父が帰ってきていた。

家族全員が神妙な顔をして
こっちを見ている。
どうやら、クラブで帰るのが遅い
わたしを待っていたようだ。

わたしは告野春弥。
私立高校の1年生だ。

「どうしたの?
みんな集まるなんて、珍しい」

これは本音だった。
もうすぐ中3になる妹・夏弥(かや)は
もう受験まで1年を切ったというのに
毎日遊びほうけるばかりだ。
どうやら彼氏ができたらしい。
彼氏いない歴絶賛更新中のわたしとしては、
うらやましいかぎりである。

まぁ、人のことはあまり言えないけど。

「話がある、座れ」

どうせたいしたことじゃないと思っていたわたしは、

「えー、ご飯の後じゃダメ?」

と駄々をこねた。
これも、いつもの風景。

しかし、今日はいつもと少し違った。

「ダメよ。座りなさい。」

いつもは甘く許してくれる母が、
厳しい顔つきで言ったのだ。

なんか悪い事をしたのだろうか、あたし。

そう思い、
なんだか心が重くなった。
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