東方真陽空

□事故
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俺の目の前に見えたのは赤。
生き物のように動いている赤。
その赤は、目の前の物を焼き尽くしている赤…炎だった。


決して家などが火事になった訳ではない。
回りに沢山生えている木々と、横には崖。
そして目の前はひっくりがえった車だった物。
見れば分かる。事故に合って、さらに崖から落ちたのだ

中には人がいる。焼けただれた手が見える。
この手は親父の手。

助けようとした。
だが、動けない。
中には母親もいた。
横に見える岩肌である崖から地面に落ちる前に、母さんがドアを開けて、ものすごい力で背中を押して、車から降ろしてくれたのを覚えてる。
地面についた時に、おもいっきり背中を打ってしまい、動けないのだ。

車が地面に落ちて、火が出始める。
その時に母さんの声が聞こえた。

……生きなさい。私たちの分まで生きなさい

確かにそう聞こえた。
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