兎の詩

□腕に残るは。
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腕に残るは、縦の傷。

自ら冒した、黒い罪。


…きっと、
痕は消えないだろう。

それくらい、僕が冒した過ちは大きなモノだったのだ。


時には頭を抱えて。
膝を曲げて。
大きな声で泣いた。



だけど。




「助けて」




なんて、言えなかった。

喉に張り付いて、出て来ない叫びが痛かった。

それを僕は僕なりになんとか形にしたかった。

僕は、形にしたかっただけなのに…。

《タスケテ》と叫べない僕の、最後の正当防衛。

………。
…………。



だから僕は腕を切った。

銀のカッターを僕の肌の上で滑らかに滑らせて。

赤い熱を迸らせて。


…しかし、それはきっと《禁忌》だったのだ。

だから腕に痕が残った。

他人とは違う、僕の罪。



僕の腕には白い痕。

僕の冒した、黒い罪。

一生消えない、重い罰。
 

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