兎の詩
□存在価値〜狼〜
1ページ/1ページ
俺はいつもそうだった。
《はぐれ狼》
親に見捨てられ、唯一絶対だと信じて疑わなかった、一匹の友にまで捨てられた。
『無価値だ。』
俺は、耳を塞いで閉じ籠もった。
それでも、
はぐれは野生では生きていけない、と耳の奥で聴こえた気がした。
そんなの、とっくに知ってるよ。
何故だか理由は忘れたけれど。
だって今、確かに。
…俺は死にそうだ。
『無価値だ。』
そう決めつけられたあの日から、俺は生きる理由を失った。
友に裏切られたあの日から、生きる意味を見いだせなくなった。
そんな俺が…『はぐれ』の、たった一匹狼が。
まだ、生きていても良いのだろうか?