兎の詩

□Re:それは届きません。
1ページ/1ページ

沢山の切手のついていない手紙。
誰にも届く筈がないのに期待してしまう。

いつかこの手紙に気付いて、助けてくれる筈の誰かを待つ。

苦しくて、幾度も死にそうになった。
でも、死ねなかった。
恐くて、でも死ぬより他に逃げ道はなくなってしまっていた。



私はそんな子じゃないッ



良い所も悪い所も。
分かっていないのに。
総て隠しているのに。
それさえ気付かないの。
気付いていないのに、気付いてさえいないのに。



「それ以上を求めるの」



おかしい。
おかしいの。
私…、じゃない。
私はもっと遠くにいて、何処かの閉ざされた城の奥の奥の部屋。
ベッドの上で。
ワタシ…もうひとりのワタシを待ってる。



行かなくちゃ。
何処かへ。
切手のついていない手紙とカッターナイフと今にも死にそうな“ワタシ”を持って。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ