闇夜に咲き乱れる罪色の椿姫 弐
□闇夜に咲き乱れる罪色の椿姫
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そして数か月しない内にナルトは暗部総副隊長になった。
つまり斬狼はまた一つ、地位が下に下がったのだ。
あれだけでかい口を聞いていた癖に。
『時が経つのは早い...ねぇ、斬狼?』
神姫は斬狼に目を向けた。
その瞳には決して斬狼など、ましてやこの部屋にの何かにも向けられているのではない。
ここにはない何かを見ているような、虚ろで瞑想しているような瞳だった。
「そう、ですね...。」
今ではもう敬語で神姫と会話するのにも慣れてしまった。
それだけ時が経っているのだ。
俺は知っていた。
彼女が四代目を上司では無くて一人の男として、恋愛感情で好きな事。
そしてそれが今でも続いている事を。
斬狼は不安に駆られた。
いつか、彼女が本当に壊れてしまう日が来る事を。
彼女にはもう四代目という皹が入ってしまっている。
殆どの人が彼女の演技には気付かない。
彼女の演技はそれ程までに上手かった。
だが俺は気付いていて、気付かないフリをする。
気付いているのがバレれば彼女のプライドを傷付けてしまうから。
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