黒豹奮闘記

□第参幕
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『ん…眩し…』



×××は部屋の窓から漏れる太陽の光で目を覚ました。

昨日、酒を一瓶飲んだというのに二日酔いを起こさない自分は凄いと心の中で自画自賛しつつ起き上がる。


寝巻から稽古の着流しに着替えた。

×××は稽古用には紺の着流し、私服用には濃い紫の着流しを持っている。


眠たい目を擦りながら手洗い場に行き、顔を洗って髪を低い位置の片方に纏め、稽古場へと向かった。



『ちょっと早く来過ぎたか…寝よ』



×××はそう言うが早いか、稽古場の隅に丸くなって眠り込んだ。


















「ん?」



少し早めに稽古場に来た土方は室内に誰かの気配を感じ、入口で歩みを止めた。

そしてふと部屋の隅に目をやると…



「あのヤロー…」



×××が丸くなって爆睡していた。

スヤスヤと眠る×××にドカドカと歩み寄る土方。



「こら、起きろ」


『スー…スー…』


「オイ」


『スー…スー…』



土方がヤキモキしている間に隊士達が集まり始めた。



「いい加減起きや…」


「甘いですぜ、土方さん。コイツはこうしてやらなきゃいけねェや」



ガチャ


「ちょっ…総…」


ドカーーン!!



止める土方を無視して沖田は躊躇無く×××にバズーカを発射した。目撃した隊士達も唖然としている。



「フッ」


「フッ…じゃねェーよ!!!」



その時、



『てんめ…何すんじゃボケェェェ!!!』


「ぅお!!」



声と同時に砂埃の中から凄まじい飛び蹴りが飛んできた。
難無くかわす沖田だがおかげで土方にヒットした。



「生きてやしたか」


『当たり前じゃボケェ!!てかバズーカ降ろせや!!』


「もう一発いきまさァ」


『無視かァァァ!!!』



そう言うと×××にバズーカを構え直す沖田。



「あばよ」



ガチャ



『…こんのサディストがァァ!!!』



沖田がバズーカの引き金を引いたのと×××がバズーカを蹴り上げたのは同時だった。



「『あ』」



×××が真上に蹴り上げたせいで銃口が上に向き、二人の真上の天井が吹っ飛んだ。



「あ、じゃねーよォォォ!!てめーら一体何回破壊したら気ィ済むんじゃァァァ!!!」


「何回って、×××を殺すまででさァ」


『上等だァ。お前なんかこてんぱんにしてやらァ』


「臨むところでィ」



お互いに睨み合い、側にあった竹刀を手に取る。二人の様子に頭を抱える土方だったが、他の隊士達は二人の手合わせを見たがっているようだった。

恐怖半分期待半分というところだろう。

そして両者とも竹刀を構えた。
お互いに殺気の篭った目でニヤリと相手を見ている。

そして…



バシィィィ!!



同時に踏み込んだ二人の竹刀がぶつかり合った。



「…この前とは気迫が違うじゃねェか」


『ハッ…当たり前ぇだろ?』



自分と×××は男と女。
もちろん力加減で負ける気はしない。

沖田は竹刀に更に体重を掛けようと腕に力を込める。

だが、



「!」



×××はいきなり屈み込むと沖田の竹刀からするりと逃げ、背後に回った。



『ウラァッ!』


「チッ」



バシッ!



寸前で振り返り受け止めたものの×××の小回りの良さに冷汗が流れる。

コイツこんな身のこなし方する奴だったか…?

そこから更に小競り合いが続き、間合いを取った瞬間、×××が目にも留まらぬ速さで思い切り打ち込んできた。



「ぐっ…!」



まともに喰らいよろけたが、その一瞬に出来た×××の隙を突いて胸辺りを強く突いた。



『うっ…けほっ…!』


「ハァァァ!!!」



沖田は躊躇い無く跳び上がると×××の頭上目掛けて竹刀を振り下ろした。

しかし…



『ナメてんじゃねぇぇぇ!!!』


「!?」


バシィィィ



×××は叫ぶと共に荒々しい太刀筋で沖田の竹刀を思い切り薙ぎ払った。



「っ!」



体勢を崩され、転がりかけたところを受け身をとって構え直す。

×××は突かれた胸を抑えゼィゼィ言っていたが腹立つ笑みを浮かべている。



「…やるじゃねぇか」


『お前が弱いだけだろ?』


「ちょっと胸突かれたくらいでゼィゼィ言ってる奴に言われたくないねィ」



そして両者再び踏み込んだ瞬間…


 
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