黒豹奮闘記

□第六幕
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×××が銀時達のいる隣の屋根に登ると、すでに近藤がいた。



『あれ?近藤さんも見学ですか』


「まぁな。トシが俺の敵討ちに行くというのに俺だけのんびりしているワケにもいかんだろう」


『なるほど。でも分かってんでしょう?近藤さんだって、土方さんがあの男に敵わない事くらい』



すると近藤がうむと腕を組んで考えるように頷いた。



「一度奴と向かい合った俺だから分かるが、確かに今のトシではあいつと当たり合うのは無理だ」



そこで一旦言葉を切り、銀時と向かい合う土方を見つめる。



「だがな、あいつにとってあの男と向かい合うのは良い勉強になると思ってな」



そう言って目を細める近藤をやっぱり×××は尊敬出来ると思った。

まぁ"たまに"の話だけど。

そうこうしているうちに沖田が登って来る。



「あれれ、近藤さんも来てやしたか。あ、始まりますぜィ」



沖田の言葉と同時に土方が銀時に突進して行く土方を三人は無言で見つめた。

ここからでは会話まで聞こえないが動きははっきりと見えた。

土方が沖田の刀を銀時に渡すと同時に銀時を斬りつけ、それをなんとか銀時が受け止める。隣で沖田が「あーあ、俺の刀が」とか言っていたが無視だ。


ガキィィンという音と共に銀時が屋根を転がる。

土方に切り付けられたところを見ると、昔に比べて多少反応が鈍ったなと思いながら×××は冷静に二人の戦いを見ていた。


そして…



ザゥン!



という音が響くと共に土方の刀が銀時によって切断され、カランと虚しく転がった。
傷を負いながらも完璧に間合いを計り、見事な動きをした銀時に×××の頬が自然と緩む。



『…ほぉらな。土方さんの負けだ』



ポソリと一人呟いた×××には、土方と別れ際に発した銀時の言葉が聞こえていた。


自分が護ったのは"俺の武士道だ"と…



「…フフ、面白ェ人だ。俺も一戦交えたくなりましたぜ」


『テメーでも敵わねぇよ』



葉っぱを加えてさも面白そうに言う沖田に×××が呆れて言い返した。



「そうだ。やめとけ。お前でもキツいぞ総悟。アイツは目の前で刃を合わせていても全然別のところで勝手に戦ってるよーな男なんだよ。」


『そう…勝ちも負けも浄も不浄も越えたところでな』



そう言って見上げた空は久しぶりの雲一つない青空だった。


 
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