黒豹奮闘記
□第七幕
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「えーみんなもう知ってると思うが、先日宇宙海賊“春雨”の一派と思われる船が沈没した」
…わいわいガヤガヤ
ただ今真選組は朝の会議中だ。
ただいつもと違う事は、局長がいつになく真剣な表情で話しているという事。
「しかも聞いて驚けコノヤロー。なんと奴らを壊滅させたのはたった二人の侍らしい……」
…わいわいガヤガヤ
更に真剣な口調で語る近藤だがやはり隊士達は完全に聞いていない。
一番酷いのは最前列で堂々と罵り合っている一番隊隊長と副隊長だ。
『はぁ?もっぺん言ってみやがれ』
「あぁ?チビは黙ってろって言ったんでィ」
『んだとコノヤロー。毎朝毎朝バズーカぶっ放しに来やがって…死ね』
「テメーが死ね」
毎度毎度の光景に思わず近藤は目をつぶる。最早なんの罵り合いか分からない。
「…驚くどころか誰も聞いてねーな。ったく…総悟と×××なんか近藤さんの事存在無視してやがる」
「トシ」
ガチャ
近藤の声を合図に土方が隊士達に向かってバズーカを構えた。
そして…主に罵り合っている二人に焦点を当てると、躊躇いなくぶっ放した。
朝から屯所にドガン!!という爆音が響いた。
「えーみんなもう知ってると思うが、先日宇宙海賊“春雨”の一派と思われる船が沈没した」
そして冒頭と同じ台詞を言う近藤。
だが冒頭と違い、目の前の隊士達は煙を上げながら正座して近藤の話を聞いていた。
一番隊隊長と副隊長も、だ。
恐るべしバズーカ効果。
「しかも聞いて驚けコノヤロー。なんと奴らを壊滅させたのはたった二人の侍らしい……」
「え゙え゙え゙え゙え゙!!マジすか!?」
もうバズーカの餌食になりたくないのでとりあえず驚いたリアクションを精一杯する隊士達。
それに対して再びバズーカを構える土方。
「しらじらしい。もっとナチュラルにできねーのか」
「トシ、もういい話が進まん」
バズーカをぶっ放す構えを取る土方に近藤が制止をかけ、再び真剣な目で隊士達を見る。
「この二人のうち一人は攘夷党の桂だという情報が入っている。まァ、こんな芸当ができるのは奴ぐらいしかいまい」
"桂"という言葉に隊士達の雰囲気がだらけたモードから変わる。が、やはり沖田と×××だけは興味のない面でボヘーとしていた。
「春雨の連中は大量の麻薬を江戸に持ち込み売りさばいていた。攘夷党じゃなくても連中を許せんのはわかる。だが問題はここからだ。その麻薬の密売に、幕府の官僚が一枚かんでいたとの噂がある」
「「「!」」」
近藤の言葉に更に隊士達の中に緊張が走った。もちろん二人を除いて。
「麻薬の密売を円滑に行えるよう協力する代わりに、利益の一部を海賊から受け取っていたというものだ。
真偽のほどは定かじゃないが、江戸に散らばる攘夷派浪士は噂を聞きつけ『奸賊討つべし』と暗殺を画策している」
ここで一旦言葉を切ると、近藤は隊士達を見渡してニヤッと笑った。
「真選組の出番だ!!」
「「「オォォーー!!!」」」
もちろん沖田と×××は返事代わりに欠伸をしただけだったが…