黒豹奮闘記

□第拾八幕
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「いや〜、相変わらず凄かったな。沖田隊長も〇〇〇副隊長も」


「まったくだぜ。二人が手合わせしてるとこ見んの二回目だけどよ…やっぱ副隊長の太刀筋は全く読めねェや」


「確かになぁ…しかもアレどこの流派だ?」


「それ俺も思った!俺達の習うもんとは違うよなぁ…」


「しかも沖田隊長を負かすなんてな。互角にやり合うだけでも凄ェっつーのに」


「恐ろしい人だ…」



朝の稽古後、朝食を摂るために食堂へわらわらと集まってきた隊士達は、揃いも揃って×××と沖田の手合わせについて話していた。

そんな隊士達の会話を聞きながら土方と近藤は向かい合わせに腰掛ける。

出されたあらゆるおかずにマヨネーズをかけていく土方に対し、近藤は腕を組んだまま何か考え込んでいる様子だ。



「なァ、トシ」


にゅるにゅる…

「なんだ?近藤さん」


「うむ…。今朝の総悟と×××の手合わせなんだがな…前にお前が、×××の太刀筋が昔と変わっていると言っていただろう?」


ぶちゅっ、にゅる…

「あぁ。…あ、マヨネーズ切れた」


「……ゴホン…その事なんだが、確かに変わっているな。更にあの剣捌きは瞬殺を目的としているようにも見える…」


にゅ、ズゴ!ブフスーっ!

「そうだな……山崎ィィィ!!マヨネーズ足りねェだろがァァァ!!」


「もう十分だよ!!かけすぎて最早おかずじゃないよそれ!!てか何で俺!?」


「頼むから聞いてェェェ!!せっかくのシリアスムード、マヨネーズでめちゃくちゃにしないでぇぇぇ!!!お願いだからァァ!!」


「てか横文字多過ぎて読みにく!!」


「さっさとマヨネーズ買ってこいやァァァ!!」


「ギャアアア!!今行きます!!行きますぅぅぅ!!!」



…………

……





――20分後――



「で、×××の太刀筋が瞬殺目的だってか?」


「ぐすっ……そう」


「…泣くなよ近藤さん。悪かったって」


「いいんだ…別に俺なんて…」


「…(めんどくせっ!!)」



涙を流して頷く近藤に呆れつつ、土方は土方スペシャルを口に運ぶ。

ちなみに山崎はマヨネーズの買い出しからまだ戻って来ない。



「…ていうかトシ、総悟と×××、遅くないか?」


「あぁ。あいつらなら近藤さんがギャアギャア泣いてる間に見回りに行かせた」


「そうだったんか。ならいいんだがな…すみれさんがいないのは何でだ?」


「あ?(さっきまで隊士達の中に…)」



土方が食堂を見回すがすみれの姿は見当たらない。

山崎と一緒に買い物にでも行ったのだろうか。



「…まぁそのうち帰ってくるだろうよ」


「そうだな。それでさっきの話なんだが…」


「あぁ…」



なんだか嫌な予感がしつつも土方は近藤の話に耳を傾けた。

すみれという女は極度の×××好きでたまに予想もしない行動に出る。

下手に行動力のある奴は時にやっかいだ。

土方は内心舌打ちしながら残りの土方スペシャルをかき込んだ。


 
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