黒豹奮闘記
□第弐拾壱幕
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突っ込んだ先は沖田のいる場所。
自分でも気付かないうちに無意識に沖田を目で探していた。
真選組の突入時刻まで時間稼ぎをしている間だって、何故かあいつの事が気になって仕方がなかった。
気が付けば頭の中で沖田の事を考えている自分がいた。
何故かは分からないけれど。
「っ、らぁぁぁぁあ!!!」
「後ろがガラ空きだァァァ!!」
「!」
『てめーもな』
ドガシャァァァ!!!
疲労からか背後を取られ、多少反応の遅れた沖田が振り返ったそこには、三人程まとめて叩き斬ったであろう×××が立っていた。
「×××…!」
『よォ。大丈夫か?』
「…あぁ。助かった」
『、ははっ』
視線を逸らしてぶっきらぼうに呟いた沖田に、×××は一瞬きょとんとしてから×××にしては珍しく、素直に笑った。
いや、珍しいのは素直に礼を言った沖田も同じだろうか。
無事な×××の顔を見て安心しつつ、沖田はもう一度刀を構える。
斬れども斬れども、次々と攘夷浪士達は襲ってくるのだ。こんな会話をしていたってもう既に周りには二人を囲むように攘夷浪士達が刀を構えていた。
それを見て×××も沖田と背中を合わせるようにして刀を構えた。
「もうひと頑張りといくかィ」
『あぁ…背中はテメーに預けるぜ?総悟』
「フン…俺のも頼みまさァ」
『上等…!』
その言葉を合図に、二人は不適に笑うと、目の前の攘夷浪士達の群れへと同時に駆け出した。
『「うらぁぁぁぁあ!!!」』
疲労や数の差なんて微塵も感じさせぬ動きでバッたバッたと敵を倒していく二人。
二人の強靭なる強さの前に、次々と攘夷浪士達は倒れていく。
『っ、くたばれェェェ!!!』
「ギャアァァァ!!!」
ドシャ!という派手な音と共に最後の攘夷浪士を始末し、×××が辺りの状況を確認すると、どうやら特効党の勢力はあと僅かのようだ。
×××の後ろで沖田も始末し終わったようで、こちらに歩み寄ってきた。
「はっ、はっ…終わったか」
『はぁ、はっ…あぁ。もう片がついたも同然だろ』
だが、そうは言いつつも×××はどこかザワザワと嫌な胸騒ぎがしてならなかった。
笑ってる奴まで居やがる。
あの覆面の男はどこにいった…?
おかしい。
何ががおかしいのだ。
『おい総悟。なんか…』
何故追い詰められているというのに特効党の奴らはあんなに余裕なんだ…?
不審に思い、×××が隣に立つ沖田を見たその時だった。
背後にザワリとした殺気を感じ、振り返った先に見た嫌な光。数十メートル先に構えられた“それ”は、確かに沖田に狙いを定めていた。
『総悟ッ!!』
「×××!?」
咄嗟に隣の沖田を突き飛ばすが、ほんの数秒差で完全には避け切れなかった。
それどころか、パァン!という発砲音が立て続けに響き、目の前に鮮血が舞うと共に×××の横っ腹に激痛が走った。