短い物語

□僕達にも・・・
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買い物の途中、新八達は真選組TOP3にばったりと出会った。
すぐに、神楽と沖田は少し離れたところで戦い始めた。
いつものことに保護者の新八と土方はスルーした。

「やあ、義弟よ!」

「こんにちは、土方さん」

「ああ、万事屋がいねえけど、どうしたんだ?」

新八は近藤の挨拶を無視した。土方が問い掛ける。

「それがですね、今日の朝お小遣いを僕達に渡して今日一日遊んで来いって言われたんです。その後、銀さんは出掛けました。」

そう言いながら膨らんだ財布を出して見せた。

「そんな金、万事屋が持ってたんだな・・・。」

「僕もそう思いますよ。一体、どこにいるんでしょうね?」

「万事屋ならそこにいるぞ?」

神楽と沖田の喧嘩を止めてきた近藤が指差した。4人が近藤が指差す方向をみると、見慣れた銀髪が居た。
いつもの格好ではなく、ぽつりぽつりと花椿が散らばっている着流しを着ていた。
銀時は何かを待つようにそわそわとしていた。

「銀ちゃん、あんなところに居たアルか。
おーい、銀ちゃ「銀時!!」・・・ん」

神楽の声を遮るかのように誰かの声が聞こえた。5人が一斉に振り返ると見覚えのあるような姿が3つあった。
過激派攘夷志士の桂と高杉、そして元攘夷志士の坂本だった。
桂たちは5人に気付くことなく銀時の元に駆けて行った。
銀時も、桂たちの姿に気付くと嬉しそうに笑った。
普段、新八達には見せない安心しきった笑顔に新八と神楽は少し悲しそうな顔をした。土方達は高杉と銀時が知り合いということに驚いていた。

「遅かったな、どうして?」

銀時が高杉に聞くと高杉はいつもの狂った笑みはなく顔を青白くしながらぼそりと言った。

「好い煙管があったからつい・・・・・・・・・・・・・・寄り道をしてしまっただけだァ」

銀時は呆れたように溜息をついたが、すぐに元気に笑った。

「ま、いいや。早く行こうぜ!!」

その笑顔に他の3人もつい笑顔になってしまた。
4人は、じゃれあいながら歩き始めた。
しかし、新八達は後を追うことは出来なかった。
あんな、安心しきった顔を新八たちの前で見せたことが無かった。




     銀さん、僕達では安心できないんですか? 
                         その笑顔を見せてはくれないのですか?
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