短い物語
□思い出の場所
2ページ/7ページ
銀時たちは少し歌舞伎町から離れたところに出掛けていた。
すこし出掛けるかと銀時が言ったが電車とかに乗る金も無く、ふらふらと歩いていたら、神楽が声を上げたのだ。
「わー、凄いアル!」
(わー、凄え!)
高杉の声と神楽の声が重なった。
そこは、小高い丘があり辺り一面緑だった。
緑色の草がさらさらと風に合わせて揺れていた。小さい花が所々咲いていた。
「銀さん、綺麗ですね!!」
(先生、綺麗ですね!!)
新八が桂に見えた。
銀時は近くに生えていた草の花弁をちぎると咥えた。
「ちょ、銀さん。何食べているんですか?」
(えっ、銀時。何をしているのだ?)
「食べてなんかいません〜。この花の蜜は甘くて美味しいんだよ。」
銀時はそう言いながらもう一つ花弁を渡した。
新八は恐る恐る咥え、そして笑った。
「ほんとだ。甘くて美味しい。」
(本当だ。甘くて美味しい。)
「ふっ。これだからダメガネは何時まで経ってもダメガネなんだよ。」
「神楽ちゃん!?」
銀時は丘には登らずに呟いた。
「いいところだな。」
それを聞いた神楽たちも頷いた。
「本当。いいところアル。」
「また来ましょうね、銀さん。」
ここは、昔のあの丘にとても似ていた。
とてもとてもあの丘に似ていた。