短い物語

□思い出の場所
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銀時たちは少し歌舞伎町から離れたところに出掛けていた。
すこし出掛けるかと銀時が言ったが電車とかに乗る金も無く、ふらふらと歩いていたら、神楽が声を上げたのだ。

「わー、凄いアル!」

(わー、凄え!)
高杉の声と神楽の声が重なった。

そこは、小高い丘があり辺り一面緑だった。
緑色の草がさらさらと風に合わせて揺れていた。小さい花が所々咲いていた。

「銀さん、綺麗ですね!!」

(先生、綺麗ですね!!)
新八が桂に見えた。

銀時は近くに生えていた草の花弁をちぎると咥えた。

「ちょ、銀さん。何食べているんですか?」

(えっ、銀時。何をしているのだ?)

「食べてなんかいません〜。この花の蜜は甘くて美味しいんだよ。」

銀時はそう言いながらもう一つ花弁を渡した。
新八は恐る恐る咥え、そして笑った。

「ほんとだ。甘くて美味しい。」

(本当だ。甘くて美味しい。)

「ふっ。これだからダメガネは何時まで経ってもダメガネなんだよ。」

「神楽ちゃん!?」

銀時は丘には登らずに呟いた。

「いいところだな。」

それを聞いた神楽たちも頷いた。

「本当。いいところアル。」

「また来ましょうね、銀さん。」


ここは、昔のあの丘にとても似ていた。
    とてもとてもあの丘に似ていた。
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