Special1

□『ラヴレター』
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白哉に借りた書類をコンビニでコピーして、俺は急いでまたソウルソサエティへ向かった。十番隊執務室を出てから三時間ほど経過していたし、そろそろ冬獅郎の机の書類の量も減っている頃だろう。


ちょっと時間は掛かったけど、褒めてくれるかな。

頭とか撫でてくれるかな。

「何してんですか、乱菊さん?」

執務室の戸の隙間から室内を覗き込んでいた乱菊さんに声を掛ける。すると乱菊さんは人差し指を唇に当て、戸に向かって指差した。

俺は事情がよくわからないまま、乱菊さんの真似をして執務室を覗き込んだ。

目に入ったのは、何か紙を掲げてにやつく冬獅郎の姿。何見てんだ、あいつ。

「何か面白いから、ずっと見てたの。ラヴレターだったりして」

笑いを含んだ声で囁くと、乱菊さんはスキップしながらどこかへ行ってしまった。

俺も中々見れない冬獅郎の間抜けな顔を見て吹き出しそうになったが、もしラヴレターだったら、俺、危ないんじゃないか?

「冬獅郎っ」

俺は勢いよく執務室の戸を開けた。冬獅郎が慌てふためきながら眺めていた紙切れを後ろに隠す。

「いっ、一護!馬鹿野郎、ノックくらいしやがれ!」
「うるせぇ!何隠したんだよ?見せろっラヴレターとかじゃねぇだろうな!?」
「ああっ」

俺は冬獅郎の不意を突いて、その紙切れを取り上げた。俺がそれを持つ手を高く上げれば、冬獅郎はいくらジャンプしても届かない。

ぎゃーぎゃー言う冬獅郎の頭を空いた手で押さえ、その紙切れに目をやった。

…嘘。

「…馬鹿?」

俺は込み上げてくる笑いと愛おしさを隠すため、そう言って冬獅郎を抱き締めた。

「…見たな…っ」

恐らく真っ赤に染まっているであろう冬獅郎の耳元で、俺は小さく囁いた。

「俺もそれを望んでる」

冬獅郎が眺めていたのは、昼間に署名する欄を間違えてしまった例の書類。彼の苗字の後に、俺の名前が書かれていた。

こいつ、本当に馬鹿だよ。畜生、愛してる。


END
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