参加企画、作品堤出

□きっと今日の為に生きてきた
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俺は…
死んだのか?

なぜ、どうして

俺達はガンダムマイスターになる為に、生まれた存在なのに




きっと今日の為に生きてきた




遡(さかのぼる)こと数年前
今日も施設での厳しい訓練が終わった
それぞれ各自の部屋へ戻る
部屋と言っても押し込んで5人入るのがやっとの劣悪な環境だった
この施設で生まれ育った子供達は、被験体としての番号で呼ばれる

人間がどこまで冷酷になれるか試す場所であった
人革連は秘密離に、デザインベイビー達の性能の向上を計り、さまざまな医療実験をされた

俺は必死だった
這い上がらなければ死が待つのみだったから

実際に使えない同胞は処分の対象となった

ある者は銃殺刑に、ある者は餓死した

風も光も差さない、真っ暗な地下牢の中で、同胞達は飢え渇き、窒息しながら死んで行った

肉体の本能は“死にたくない”と呻いていた
俺はかろうじて生きていたようなものだった

もはや正常な判断は出来なかった
到底“人間の心”は保てなかった

生き残る為に訓練に積極的に取り組んだ

優秀なガンダムマイスターになる為に

そして今現在
スローネのガンダムマイスターとなるべく、3次試験を通過したデザインベイビー7人で最終試験が行なわれた

選別は訓令を受け遂行される

最終試験の結果、最も成績の優秀な3人のデザインベイビーが選ばれた

一人はヨハン・トリニティ
もう一人はミハエル・トリニティ
そして最後にネーナ・トリニティ

名誉あるスローネのガンダムマイスターとして名前を付けられた

初めて名前で呼ばれた時は変な感じがした

その日から、俺たちは“トリニティ”3兄妹と呼ばれた

「にィにィ〜!」

特にネーナは、俺やミハエルを兄のように慕ってくれた

「どうした?ネーナ」

少々我儘で甘いもの好きだが、抜群の行動力はガンダムマイスターとしては適任だ
特に心配する点もないだろう

不思議とどこからか感情と言うものが湧いてきた

「ヨハン兄、アタシ達どこの配属になるの?」
「確定はしてないがアフリカ南部みたいだ」
「ふ〜ん…そっかあ」

どうやらネーナは、配属がどこになるか気になるらしい

作戦を指示してくれるのはラグナ・ハーベーと言う人物らしい

まあ、どこだろうと与えられた任務を遂行するだけなのだが

「兄貴!」

やんちゃなミハエルも何だかんだ俺を頼りにしてくれている
ミハエルはネーナを妹のように可愛がっている

「なんだ、ミハエル」
「GNドライブのことについてなんだが…」
「スローネは3機とも疑似太陽炉を使用している。だが、GN粒子の発生率は…」

なるべくわかりやすいように説明をするが、ミハエルは飽きっぽいから心配な所もある

だが、マイスターとして選ばれたのだから心構えは出来ているだろう

ミハエルを信頼しよう

ラグナからの連絡はまだだろうか?
早く指示をして欲しい

ガンダムマイスターとして戦いたい
戦う為に生み出された存在、だから

すると、待ち構えていたかのように基地内に警報がなる

「総員!第一戦闘配備!」

ミハエルとネーナが嬉しそうにはしゃぐ

「待ってたぜッ!」
「わ〜い!やっと戦える〜!」

ガンダムスローネは全部で3機

スローネアイン
スローネツヴァイ
スローネドライ

それぞれの性能を、最大限に活かすことの出来るマイスターを塔乗させる

「繰り返す!総員、第一戦闘配備!トリニティはスローネを起動しろ!」

休憩室で待機していたヨハン、ミハエル、ネーナは各自の機体に向かう

「ミハエル!ネーナ!行くぞッ!」

「了解!」
「オッケー!」

ハッチを開けスローネを起動させる

そうだ…。俺はミハエルやネーナにとって“兄”としての存在だ
だったらせめて“兄”として、愛する弟や妹を守ってやらねば

選ばれしガンダムスローネのガンダムマイスター

スローネツヴァイのガンダムマイスター

ミハエル・トリニティ

スローネドライのガンダムマイスター

ネーナ・トリニティ


俺の大事な家族

そして

今の俺はスローネアインのガンダムマイスター

ヨハン・トリニティ

でしかないのだから

「ヨハン・トリニティ。スローネアイン、出るっ!」








この度は、素敵な企画に参加させて頂きありがとうございました
ヨハン視点のSS、のつもりです
皆様のお目汚しにならぬことを祈って…


07.3/26

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