キラフレ愛祭

□抱きしめてください
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抱きしめてください






「…っ!」



回りを見ると、そこは真っ赤だった。



「何よ…コレ…」


ポタポタと流れ落ちるのは、血。



「な…何なのよ!!」


だが、この場には自分一人しか居ないようで、只自分の声が木霊するだけ。




「フ…レイ…」



「え…」



後ろを振り向くと、そこには死んだ筈の父の姿。

「パ…パ…?どうして…?」




「…フレイ…」



よろよろと真っ直ぐに自分の所に歩いて来る父。


「や…」


だがこの人は自分の父親ではない。
直感的にそう感じた。



「いや…来ないで!!」

「フレイ…」



今度は反対側から自分を呼ぶ声。



「キ…ラ…?」



「…うん。そうだよ」

いつものように微笑んでいるが、これも父と同じようにキラではない気がする。



「嫌!二人共、近づかないで!!」


フレイが命一杯叫ぶと、父とキラはピタリと止まった。

ホッとしたのも束の間、二人の身体がみるみる内に溶けていき、ゾンビのような
顔と体付きになっていく。



「いや…いやぁぁぁぁーーー!!!」


「何でだい?フレイ…パパだよ…?」



「フレイ…」



「フレイ…」



「やだってば…いや!!!」



今まさにフレイの体に触ろうとした瞬間だった。


「レイ…フレイ!!」

「!!」



「あっ…」


「大丈夫…?何かうなされてたから…」



「…キラ」



「何?」



首を傾け、覗き込んで来るキラに、フレイはポツリと告げた。



「…良いよ」



いつものように優しく笑うキラは夢で会ったキラとは違い、私を酷く安心させた




「…大丈夫だからね…」


「………」



もう、あんな悪夢…見ない。



だって、あなたが抱き締めてくれているもの…。





「…ねぇ、私を抱き締めて…?」





END






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