ミッドナイト・トラベル

□第一夜
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ミッドナイト・トラベル

〜第1夜〜




深夜の零時頂度、一見何の変哲もない列車が駅のプラットホームへ止まっている

よく見ると随分旧式のSL

だが、このSLは無限に伸びた全宇宙の空間を巡る超近代的宇宙列車

高度なコンピューターで制御されている

旧式のSLを引っぱっているC62―48号の機関車は動きが活発で荒っぽく、多少のことでは止まらない




私はあの時、死んだはずだった

アスランと

アスランの手を取り、一緒にザフト軍を脱走

デスティニーがグフへ痛恨の一撃を放ち、攻撃をして海中に墜落した

なのになぜ生きているんだろう?

それとも…これはただの夢か幻なのか?




気付くとそこは真っ白な壁

ミーアは、ゆっくりと目蓋を開く

「大丈夫ですか?」

と、誰かに声を掛けられたらしい

ミーアは虚ろな瞳(め)で話し掛けてくれた相手を見上げる

「あ、あなた…!シン……?!」

「よかった、気が付いたみたいですね」

ミーアは簡易ベットから起き上がろうとするが背中に激痛が走る

無理をしようとするミーアをシンが咎める

「ああ、だめですよ!!起き上がっちゃ…まだ休んでて下さい」

「ここ………は……?」

ミーアが尋ねると、シンは呆れた顔で答えた

「ここはザフト所有の潜水艦、イリアム内の診察室です」

「そう、なの…シン……ア、アスランは?」

ミーアは声を荒げるが、シンは落ち着いた口調で諭すかの様に言い聞かせる

「大丈夫です。奇跡的に腕に軽い怪我をしただけで済みましたから」

「よかった…ほんとによかった!」

ミーアは今にも零れ落ちそうな涙を堪(こら)え安堵の溜め息をつく


「それより…何であんなことしたんです?!」

「え………」

シンは不安と怒りにかられ、つい怒気が混じった声で疑問を問う

「ザフトを脱走しようとしたりなんか…」

ミーアは一拍置いてからシンの問いに答える

「逃げたかったの…」

「…え……っ」

広大で無限な…あの宇宙(ソラ)へ

「……アスランと…あたしの、愛すると人と共に…」

「…ラ……ミーア……」




この世界を放り出してでも




「シン、聞いてくれる?あたしの思い出話」

「あ……うん…いいよ。話してくれ」




これは歌姫を目指す前の普通の少女の話



煙を吐き出すかの様に汽笛を鳴らす




まだ…波乱に満ちた物語は始まったばかりだ




        続く






ついに始まりました

私には、あまりにも無謀な長編連載小説が…。

ザフト寄りの、アスランとミーアの逃避行中心の話にしていきます

どうか、あたたかい目で見てやって下さい

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