華鬼

□素直になれない
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『きーとーおー!!』

「・・・なんだ」

『木籐。あのさ、この間の続き聞かせて?』

こいつは俺の花嫁

「・・・神無の話か?」

『そうそう!!木籐に似合う花嫁になりたいの!!だから女の人になつかない木籐が本気で惚れた花嫁さんのことを知りたいの!!』

じゃあお前は何なんだ
本気で惚れたからお前を花嫁にしているんだろう

「そういう理由ならしない」

『えーーーーーいーじゃんよーこないだは聞かせてくれたじゃん』

「気まぐれだ」

『じゃ、今回も気まぐれしてくださいよー』

「・・・」

『なーんで、黙っちゃうかな・・・』

「・・・神無は『鬼頭』というだけで俺を判断しなかった」

だから、神無が死んだとき悲しかった・・・
そんなときにこいつがきた






――

「・・・神無・・・!」

白い台の上で安らかに眠る神無
彼女が最後に言った言葉が頭を離れない
『華鬼・・・ありがとう』

「神無・・・」

俺は神無を看取ったあと歩き続けた
今までにない悲しみが胸の中をいっぱいにした

「・・・」

その日は雨が降っていた。しばらく同じ場所にたたずんでいると

『あの・・・どうかしましたか?』

女の声が聞こえた

そちらを向くと別段取り柄もなさそうな普通の顔の女がいた
―鬼の花嫁の中では醜女に分類されるであろう

『ここにいると風邪引きますよ?雨も降っていますし・・・』

「・・・」

俺はその女のいうことを無視し歩き出そうとした

『ま、待ってください!!』

「!?」

『あの、濡れていますし・・・家はこの近くなんですか?よかったら家に上がっていってください。家近いですし・・・』

「・・・わかった・・・」

『はい!ではこちらです』

女は笑って華鬼の腕を取り自分の家に導いた

その笑い顔が一瞬本当に一瞬だ―神無に見えた

『ここ浴室です。タオルと着替え・・・は・・・父のですけど・・・よろしいでしょうか・・・?』

「ああ」

『ではおいておきますので!ごゆっくり』

今度は女はふんわりと笑った
そして今度は本当に神無に見えてしまった

「神無・・・」

シャワーで洗い流し浴室を出た
そこにはちゃんとたたまれタオルときがえが置かれていた

『あら、早かったですね』

女は浴室のドアの横で待っていた

『服サイズ合いましたか?大丈夫そうですね。あ、お茶を用意したんです、どうぞ』

華鬼は女のあとについていった

『はい。どうぞ』

出されたのは華鬼の好きな日本茶

一口飲んでみると思わず声が出た

「・・・うまい」

『よ、よかったぁぁぁぁ。ここら辺の人紅茶好きが多いんですよ〜だ〜れも日本茶のんでくれない〜』                                  

女はうれしそうに笑った

「・・・お前・・・名前は・・・」

『あ、すみません申し遅れました。姫宮真白です』

「姫宮・・・真白・・・」

『あなたは?』

「・・・木籐華鬼」

『かっこいい名前ですね!!』

真白は柔らかく笑った
本当によく笑うやつだと思った

『私父と母いないんですよ〜ふたりとも・・・事故で・・・』

「いくつだ」

『え?私ですか?17です』

「・・・ちょうどいい」

『え?なにが・・・?』

「俺は鬼だ」

『鬼・・・?』

真白は目を見開いた

『ここら辺のきれいな女の子たちはみんな鬼の伴侶として連れて行かれています。あなたがその鬼なのですか?』

「・・・ああ」

『・・・鬼は美しい女を好むそうですね・・・私なんか見向きもされませんからこの土地で普通に暮らそうって思ってたんです・・・』

「・・・お前を俺の伴侶にしてやる」

『え?なぜですか?さっき会ったばかりですし・・・私こんな見た目ですよ?』

「俺は見た目で花嫁を選ばない」

『で、でも・・・』

「いやなのか」

『い、いえ・・・会ったばかりなのに・・・いいのかなって・・・』

「構わない。来るならついて来い」

俺は立ち上がり玄関に向かった

『ま、待ってください・・・どこへ・・・』

「鬼ヶ里。鬼のための学園だ」

『荷物は・・・』

「後で運びに来させる」

『・・・はい。じゃあ、あのよろしくお願いします』

「・・・ああ」

            
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