薄月鬼

□第九話
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ネプチューン【お前ら………】


サターン【ネプチューン。後ろ見てみろ!敵の浪士共が】

ムーン【サターン、天王山で待ってるから後から追いついて来いよな!】


サターン【ああ、セーラームーンとサターン達は先に進んでくれ、マーズ達も後から来るはずだ!】

ムーン【おぅ!】

それから数分後

ムーン【……そろそろ日が暮れてきたな、衛】

衛【ああ、そうだな。未木達なら心配ない、そろそろ戻って来るだろう】


ムーン【!!未木…よかったぜ!】

衛【無事で良かった、うさぎ。怪我もないみたいで安心した】

うさぎ【まあな、敵の浪士全員斬りたかったが、薩摩浪士の横槍が入りやがったからな】

衛【薩摩浪士の横槍…か】


うさぎ【ああ、たしか、風間千景…守護星は海王星だって言ってた彼女は外部太陽系隊士らしい】

これからは千景…セーラーネプチューンとも一緒に戦うことになるのか

美月【あいつ…外部太陽系隊士ってことは味方なんだよな】

うさぎ【だな…。】

土深【長州浪士達は拳銃自殺で残らず果てた様ね。】

うさぎ【自害か…ライバルだけどなかなかの逝き様ね】


美月【えっと…いいのかな?】

うさぎ【新撰組としては好くない結果だけどな】

土深【ああ、まあな、彼女たちには勤めを果たされちゃったからね】

うさぎ【潔さを潔さと断定するのに仲間もライバルもないよ。解る?】

衛【解ったぜ!うさぎ】


〔長州の過激派浪士達が御所に押し入った騒動は後に幕末の頃と同様に【禁門の変】と称された。仲間同士の情報交換が滞ったせいで新撰組は後手に回り好い活躍は出来ずに終わった。【禁門の変】の後 御所に向け抜刀した事も理由に政府に逆らう逆賊として扱われてゆく。そして長州の敗残浪士を取り締まるため京から離れる許可を得た、新撰組は大阪〜兵庫にかけ馨衛した。罪を犯す浪士達を取り締まり近隣に住む人たちの生活を護ったのだ〕

〔平成二十五年五月〕
美月【あ、うさぎ最近体調どうだ?】

うさぎ【体調はいいぜ。八木さん達にも世話かけてきたけどこの屯所も少し狭くなってきたか】

土深【そうだな。隊士も増えてきたから広い場所に移れたらいいな】

美月【東京にいる祐樹が隊士を募ってくれてるからな。これからまた増えるぜ!】

土深【だよな。広いとこに移って隊務に専念出来るしな。三段ベッドを幾つも置かれた狭い部屋で寝る隊士達もかなり辛いようだし】

泉水【けどあたし達を受け入れてくれるとこなんか在るの?】

うさぎ【旅館層諷邸】

泉水【【ははは、それってかなりウザがられる感じよね!】】

旅館層諷邸…って、あそこ一般宿だろ…俺らが泊まって大丈夫かよ…

未木【確かにあそこなら広さは丁度良いな。……ま、従業員達が拒否るわね、層諷邸からのが動きやすいからな】

美月【そんなに拒否られそうなのか?】

一女【層諷邸は長州の協力者よ。何回か浪士を雇った実績もあるし…彼方の同意を求めるには少し難しいわ。あたし達が移転したら長州の塒が一つ減るからね】

桃火【取り合えずは今後の隊務の事を考えましょう。】

うさぎ【そうだな桃火ちゃんの意見は最もだけどそうもいかない】

桃火【無理しない程度に頑張りましょう、仮にも私達はまだ中学二年生ですし学校も在りますから】

咲妃【うさぎの意見は正確だけど桃火の考えも一理あるわね】

?【流石局長ですね敵方まで配慮為さるとは】

咲妃【え、そう言ってくれて嬉しいけど…あたしなんて浅慮もいいとこですよ】
?【いえいえ、しっかりされてますよ】
〔この人は伊東カレン。新しく新撰組に入った高幹部だ、東京に祐樹を残し帰ってきた咲妃先輩はカレン先輩達新隊士を連れてきた、カレン先輩は咲妃先輩が高校生の頃からの付き合いの様だ。強いし新隊士達を沢山連れて来てくれる、参謀で新撰組に入るのは当たり前か〕

皆最初はカレン先輩を好くは思わねえようだなオレもその一人だけど

カレン【桃火の意見も参考になりますね相変わらずの考え深さは健在ですね、まあ左腕は使い物にならないみたいですがそれは些細なことでしょう、戦い手としては駄目でも桃火なら他にもやれることが沢山有りますよ】

うさぎ【……カレン先輩…言葉返すみたいだけど、それはどう言う事だ?あんたの言うように桃火は凄腕の司令塔だ。けどな、桃火は戦い手としてもこの新撰組には必要なんだよ!】

桃火【けれど、あたしの腕は】

うさぎ【なによ!】

咲妃【…カレン先輩、良ければ戦闘練習風景でも見ますか?】

カレン【ええ、久し振りにみせて貰います】

土深【桃火、あんな奴の言うことなんて気にしなくて良いから】

その直後桃火は辛そうな表情でその場を離れた、彼女の【けれど、あたしの腕は】という一言に悔しさを覚えた


〔桃火が左腕を負傷したのはまだ月那がきて間もない頃だ〕

学校から大阪に研修旅行に出掛けていたなか、他校の研修生との喧嘩沙汰に巻き込まれたからだ


〔その時のことは今でもまだ覚えてる、勉強中にその連絡を源さんから聞き、命の危険はないと知りオレは安心したんだ皆の表情に笑みは戻らなかった〕

一女【次の敵との戦いは今までのように容易に勝つことは難しいわね、最悪……桃火は戦い手としては二度と復活出来ないわね】


あのとき、セーラークリスタルを奪われ戦えなくなった桃火 戦士としての桃火はあの時死んだのかも知れねえ、そうかあの時泉水が 【薬か何か使えばどうにかできるわよ。桃火ちゃんも納得してくれるわよ】とか言ってたな動かなくなった腕復活できるなんてそんな薬なんて屯所にあったか?これでもオレは新撰組副長かよあぶねえ薬を使わせるわけにはいかない オレ達新撰組や未来のムーンパレス・キョウトの命運が掛かってんだ

泉水【おはよ、うさぎ。】

うさぎ【おぅ、泉水。学校行くぜ(笑)】

泉水【うん、そうだねうさぎ。一女ちゃんと未木と桃火も誘う?】


うさぎ【桃火はともかく、一女と未木は別の学校だろ】

泉水【あ、やばいよ!遅刻するよ!】

うさぎ【うあ!やっべえ!!えっと今日のコマ割は…っと】

泉水【数、英、美、古、家庭科、科、日本史だよあたしと祐樹は補習組よ】


うさぎ【はは、そうか。ほら バス来たぜ!】

泉水【ほんとだ!乗ろうか、うさぎ】

桃火【うさぎ、泉水。ホームルーム始まりますよ、あと…コマ割が一部変更されたみたいですよ】

泉水【そうね。桃火、うさぎ。】

桃火!

うさぎ【おぅ、桃火。】

桃火【…うさぎ。こっちの学校にはもう慣れましたか?……また近いうちに屯所も移転し、学校も変わるやも知れませんがご準備は?】

また転校…層諷邸の近くなら薄桜中学校が妥当だな

桃火【層諷邸への移転が無事に済んだら薄桜中学校への編入が決定です】
俺と桃火、泉水は屯所の移転と共に現在通う学校から薄桜中学校への編入手続きをする事になる


うさぎ【ようやく今の学校も慣れてきたのにまた転校か…】

桃火【あたしもできれば転校は避けたいですよ。今の学校での友人達とは離れたくないので】

だよな

うさぎ【それはあたしもだよ、転校なんてやだ……!!】

桃火【それは解りますね…だけど、咲妃先輩の意向ですからね、新たな学校でも頑張りましょう。】
うさぎ【そうだな……。】


桃火【ええ、良太くんの更正のためにも手を打たないといけませんからね】

うさぎ【良太は不良だよ?あんな子が更正なんて無理!】

桃火【まだやりだしてそんなにたたないうちから駄目だと決めるのは早いですよ彼は彼なりに頑張ってる様ですし】

うさぎ【【けどあいつ!】】

桃火【あの子は、良太くんは今のあたし達の、未来の月の希望ですからね】

うさぎ【そうだよな。俺なに諦めてんだ…しっかりしやがれ俺!】


と…桃火は意味深な目をしていた

桃火【はぁ…】

うさぎ【桃火?桃…火】

そして桃火は物悲しい顔で俺を見つめた


第九話 完
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