恋の蕾

□恋の蕾Z
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辺りはすっかりと暗くなってしまった。
西の都上空を飛ぶトランクスは、家路へと急いでいた。

見えてきたカプセルコーポレーションは、夜に一際明るくライトアップされている。




ト「ただいまー」

『あっ、お帰り。 トランクス』




リビングに入ると、奥のキッチンからコウが顔を覗かせた。




ト「コウさん、ママ達は?」




広いリビングを見渡しても、母ブルマの姿はない。 いつもなら駆け寄ってきてくれる妹のブラも、いないようだ。




『ブルマさん達、今日から2泊3日で温泉旅行に行ってくるって』

ト「え?」

『なんでも、福引で1等を当てたとかで、ベジータさんとブラちゃんも連れて、夕方くらいに出かけて行ったの』




そんなことは聞いていない…と思いつつも、母親の性格からして、あまり驚くことでもない。

ちらりとキッチンにいるコウの方に視線を向けた。 キッチンからは、食欲をそそるいい匂いがしていた。




ト「だから今日は、コウさんがキッチンに立っているんですね」

『さすがに、トランクスに任せるわけにはいかないでしょ?

この布巾でテーブル拭いて、お皿持ってって! もう、ご飯できるから』





渡された布巾を手に、テーブルを拭きに行く。

普段は呼ばれると、既にテーブルには料理が並んでおり、食べるだけの状態なのだが。 今日からブルマがいないとなると、2人で協力しなければいけない。

コウが言わずとも、トランクスもそのつもりのようだ。


素直にテーブルを拭いていると、ある事実に気付いた。




ト「あの…コウさん
さっき、父さんとブラも連れて行ったって、言いました?」

『言ったけど?』

ト「…ってことは、もしかして
今日から3日間、オレとコウさんの2人だけ…?」

『そういう事!』




トランクスの両手に出来上がった料理を乗せ、持って行くよう促(ウナガ)した。





じゃあ…この家に、2人きり?!!





今の現状を把握したトランクスは、妙にそわそわし出した。

無理もない。
コウがこの家に下宿し始めてから約3ヶ月。 2人きりになるなど無かったことだ。


料理をテーブルに並べ終え、向かい合わせで席に座る。




ト「…これ、全部コウさんが作ったんですか?」

『お母さんみたいに、種類豊富とまではいかないけどね』




改めて目の前の料理を見ると、確かに孫家の食卓に比べると種類は少ないが、それでもこれだけの物を作れるのは、普段コウも一緒に台所に立っているのだという証。

いただきます。 と手を合わせ、食べ始める2人。




『どう?』

ト「おいしいよ!
ママとは、また違う味付けが、すごくおいしい!」

『よかった』




他愛ない会話をしながら、大量にあった料理は、綺麗に完食されていた。
2人共、サイヤ人のハーフなだけあり、食欲も人並み外れている。 それにトランクスは、食べ盛り。 その食欲は、父ベジータにも負けないほどだ。




ト「ごちそうさま」

『お粗末様
トランクス、先にお風呂入っちゃって』




お皿を片していくコウに言われ、トランクスは先にお風呂に入ることにした。







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