なると2

□ありがとう
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空が茜色に染まり、辺りが段々と暗くなり始めた夕方。


「あっくん!帰るわよ」
「あ!ママだ」
「トモくーん」
「俺のママもだ。じゃあな!」
「バイバーイ」
「またな」


公園で遊んでいた子供達を、迎えに来た母親がそれぞれの子供の名を呼ぶ。

子供達は一目散に母親の元へと駆け寄っていく。


母親に手を引かれ、帰路に着く子供達が居なくなり、公園には静寂が満ちる。


―キィ…―


不意に金属の擦れる音がする。
ブランコに座る小さな塊。


「帰るか」


そう、ぽつりと零してブランコから降りたのは、まだ五才にも満たないだろう小さな少年。

暗くなり始めた空間の中にあっても、少年の金の髪は眩く輝く。
瞬く瞳は青空を模したような蒼。


この木の葉の里に於いて、その色彩を持つのは九尾の器となったうずまきナルト、唯一人。

彼は天涯孤独の身の上の為、誰かが迎えに来る事はない。


「…カカシ。何の用」
「迎えに来たよ。帰ろう?ナルト」


この、覆面で顔を殆ど隠したはたけカカシを除いては…。


「いらん世話だ」
「まあまあ。ほら、暗くなってきたからはぐれないように手を繋ごう」
「は//!?嫌だ!」


当然のように差し出された手にナルトは頬を染め、嫌だと抵抗する。


「ほらほら。一楽で夕飯食べるんでしょ?財布は俺が持ってるんだから」
「うっ…;;」


しかし、カカシの方が一枚上手だったようで、ナルトの大好きなラーメン屋の名を出されては素直に従うしかなかった。



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