なると

□幼かったあの子と今のあの子
2ページ/8ページ

「っ…うぇ…」
反射的に手を突いたとはいえ、勢いがつきすぎていた為、顔面を地面で擦ってしまう。痛みでなかなか起き上がれないナルトに手を貸しながら、身体全体を見れば、あちこち擦りむいているのが分かる。
「あ〜あ、擦りむいちゃったね、痛いの痛いの飛んでいけ〜」
擦りむいた箇所に手を当てそう呟くと、腹に封印された九尾のせいでナルトの怪我はあっと言う間に傷跡すら残さず治ってしまった。
「わっ!カカシにーちゃすごい!もうイタくないよ!」
「そうかそうか。良かったなナルト」
頭を撫で、笑顔を向ければ、照れくさそうに笑い返してくるナルト。そんなナルトに
「今度は気を付けるんだよ?」
と言えば、
「りょ〜かいなの!」
と、本当に分かったのか疑わしい返事が返ってくる。
そんなナルトを静かに見守りながら好きなように遊ばせてやる。
夏の残暑も名残を潜めては来たものの、動き回るとやはりまだ汗ばむ。そんな事にはお構いなしに、トンボやら野ウサギやらを必死になって追いかける姿に自然と微笑みがこぼれるが、急に何かを考え込むように表情を曇らせ、溜め息を付く。
それは、三代目火影に命じられた任務のせいだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ