長編

□ぬらりひょんの決断
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夜も更けた頃、幹部会もお開きとなり幹部達は皆それぞれの領地へと帰ってゆく。

賑やかだった大広間は次第に静かになり、上座に座すぬらりひょんの傍には鴉天狗と木魚達磨、牛鬼が残った。


「リクオやそろそろ寝る時間じゃろ?」
「うん、お休みなさい」


時計の針は11時を指しており、小さな子供が寝なくてはいけない時間は当に過ぎていた。
依って、ぬらりひょんはリクオに眠るよう促した。

かなり眠いのだろう、トロンとした瞳を擦り、皆に向けて就寝の挨拶をするとふらつきながら部屋を後にしていく。


「して総大将。実際の所、リクオ様はどうなのですか?まだ6才とは言え、少し位は妖怪変化の兆候は出ておりますのか?」
「う〜むぅ…それがのう」
「未だリクオ様にその
兆候は…;;」


リクオが部屋から居なくなると、大人達は皆渋い表情を作ると語りだした。


「先代は三才位には妖怪の血に目覚めておりましたな」
「そうさのぅ」
「しかし、先代の場合は妖怪の血が半分も受け継がれていたという事もありますし…」


木魚達磨が先代であるリクオの父親の事を引き合いに出すと、ぬらりひょんが頷き、それを鴉天狗が弁解に入る。

暗く沈んだ三人を余所に、思案に耽っていた牛鬼が顔を上げ、口を開く。


「少し、荒療治になりますが…こんな案は如何か」


声を潜め、ぬらりひょん達に考えた案を話し始める。


「うむ」
「それは…」
「何と!?」


牛鬼の案に興味深げに聞き入るのはぬらりひょん。
不安げな面持ちで渋るのは木魚達磨。
驚きに目を見開き、青ざめるのは鴉天狗。

三者三様の反応に、牛鬼は最終決定権を持つぬらりひょんへと視線を向ける。


「如何ですか?総大将」
「ふむ。やってみる価値はありそうだの」
「そ、総大将!?」
「本気ですか!?」
「獅子は我が子を谷底に突き落とすものじゃ」
「「はぁ…;;」」
「牛鬼、この件はお主に任せる」
「はっ」


牛鬼が提案した案は、リクオを危機的状況に追い込み、無理矢理にでも妖怪の血を呼び起こそうというモノ。

一歩間違えばリクオの命に拘る危険な案なのだが、ぬらりひょんは怯む事なく牛鬼に全てを託した。


こうして、リクオの運命の歯車は少しずつ、廻り始めたのである。

そして数日後、牛鬼によって大変な目に遭(ア)う事になるのだが、今のリクオは何も知らず、あどけない顔で安眠に浸るのだった―――。



end...

H21.9.8

お待たせしました!
やっと続きをup、と思いきや……短っ!?
本当に!本当に、すみませんm(__)m
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