なると2

□もしも、四代目が怒ったら
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木枯らしが吹き出した秋口。

昼の太陽の下、黄金色に輝く髪の青年が、これ又黄金色に輝く髪を持つ、面差しのよく似た少年を抱き一陣の風の如く走りゆく。

疾走している青年の名は波風ミナト。
その青年に抱(イダ)かれてる少年の名はうずまきナルト。

姓は違えど、二人は歴とした親子なのである。

ミナトは嘗(カツ)て、四代目火影と呼ばれた存在であり、12年程前に里を襲った九尾から、命と引き換えに里を救った英雄的存在。
しかし皮肉にも、その息子は九尾を封印された事により、里人から迫害を受けながら育つ。

ミナトの子だと公表するどころか、ナルト自信にすらその事実を知らせる事なく、本人は戦災孤児として一人で生きてきた。
哀しくも皮肉な運命を背負わされたナルト。

その息子の元に、死んだ筈の父が何故居るのか…。

それはお盆にまで遡る。


ナルトはカカシから、お盆には迎え火を焚くのだと教わった。
死者が迷わず還ってくるように手助けをするんだと聞いたナルトは、早速両親の為に迎え火を焚き、それと、同時に願い事もしたと言う。


『お父さんかお母さんのどちらかに会いたい』


謙虚なその願いを聴いたのは、神様でも仏様でもなく、一部の者から

"歩く非常識"

とまで言われる程、常識を覆しまくるミナトであった。

彼は日々死神の腹の中で魂達が憎しみ合い、争いを続ける様を一人まったりと眺めていたらしい。
そんなある時、愛しい愛息子の声が、何の悪戯かミナトの元へと届いてしまった。

居ても立っても居られなくなったミナトは、導かれるまま死神の中から出ようと試みる。
だが、それを許す筈のない死神と魂達。

壮絶と言う言葉がしっくり来るだろう死闘を繰り広げ、当然の如く闘いを制したミナトは、見事死神の中から脱出する事に成功。

漸く現世へとやって来る頃には、既に夏は終わり、木枯らしが吹く秋が深まり始めていた。



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