なると2

□七夕
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深夜、死の森の奥にひっそりと佇む屋敷の縁側に、カカシとナルトが仕事終わりの気怠い身体をゆったりと寛がせている姿があった。


二人は和服に身を包み、時折吹く風に目を細める。
七月に入って間もなかったが、昼間は連日蒸し暑く、既に夏の陽気を漂わせ始めていた。

夜も例外ではなく、寝苦しい日が続いたのだが、この日の晩は温度は高いものの、時折吹く風が冷たい冷気を運んでくれる為、かなり涼しく感じられる。


「仕事後の一杯は格別だね」
「なんかそれ、オヤジくせーぞ」
「え〜、そんな事言って実はナルトだってそう思ってるでしょ」
「…ふん」


カカシは盆に乗った徳利に手を伸ばし、自分とナルトの持つお猪口に中味を注ぐ。

見れば縁側に置かれた徳利はかなりの本数で…二人がかなり呑んでいる事を示していた。


「あ」
「どしたの?ナルト」


不意に零れたナルトの声に、カカシは新しい徳利に伸ばしていた手を止めた。


「いや…ただ、今日は七日だったなと思って」
「あぁ、七夕か」
「珍しく晴れたな」
「うん。星まで見えるのは本当に珍しいね」


暫し二人して満天の星を仰ぎ見る。

天空には瞬く星々。


「織り姫と彦星ってさ…一年に一度しか逢えないんだよね。しかも晴れてる日だけ」
「そうだな」
「年に一度しか逢えないなんて…俺なら、堪えられないなぁ」
「……そうだな…俺も嫌だ」
「ナルト〜!」
「うっ」


滅多に聞けないナルトのそう言った言葉に、カカシは感極まりナルトを力一杯抱き締める。
手加減なしの抱擁を受けたナルトは苦痛に呻く。

しかし、そんなナルトの状態は、喜びにうち振るえているカカシには届きそうにもない。


「ナルト。もし、もしもさ…ナルトと俺が引き離されそうになったら……ナルトを攫っても良い?」


抱き締める力が少し緩まると、カカシはそんな事を口にした。
声に力は無く、悲しそうな顔をしてそう提案してくるカカシにナルトは深く溜め息を吐く。


「はあっっ……」
「な、ナルト!?」
「いいか?一度しか言わないからしっかり聞け」
「はっ、はい!」


少しドスの利いた声にカカシは慌てて返事を返す。


「俺の全ては、カカシ…お前のモノだ」
「ナ…ルト」
「それと同様に、お前も俺のモノだ。恩ある三代目のじいちゃんには悪いが、お前を俺から奪うなら…俺は全てを捨てる」


ジッとカカシの瞳を見て真剣に語るナルト。

理解者であり、恩人である火影だろうと、漸くできた大切な仲間であろうと、カカシに勝るモノは無いのだと…。


「カカシは俺の全てだから」
「ナルト…本当に?本当に良いの?俺、本気にするよ…?」
「本気にしろ」
「嬉しい」
「………///」
「…っ、……vV」


再び抱き締められたナルトは耳まで真っ赤に染まり、照れ隠しにカカシの鳩尾を殴るという行為に出たが、舞い上がったカカシは痛みに息を詰めたがすぐに顔が緩み、幸せ一杯といった表情になるのだった。



end...

H21.7.8

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