なると

□ある夜の出来事
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それは、月の綺麗な深夜の事。
任務を終えた一人の忍が木の葉の森に入った。
全身を黒で統一した暗部の服に、背には忍刀。顔には動物を象った面を着けている為、表情は分からない。
見た目から推察するに、年の頃は、十代後半。スラリとした体格だが、忍と言う仕事柄、歳の割りにはしっかりと筋肉がついている。
そして、一番印象的なのが髪である。
漆黒の闇の中、疾風の如く駆け抜ける少年の髪に月の光があたると、銀色に光り輝く。
そんな彼の視界の端に、何か煌めくモノが映る。
『…?』
一旦足を止め、視界を掠めたモノを探す。しかし、月の光があるとはいえここは夜の森の中。
如何に目の良い者といえど、限度があり、動物だろうと、見切りをつけようとした時、今度は声が聴こえてくる。
「…のバケ…ノめ!」
「火…様は甘い…だ!さっさと…殺…てしま…」
「…つ裂きに…火炙りに!!」
「おい…此処…来れ…分だ!…るぞ!!」
所々聴こえない部分はあれども、かなり興奮気味の男数名の不穏過ぎる言葉に、少年は何事かと、気配を殺し、近付いて行く。
男達の背後に忍び寄り、何をしているのか探る少年。そんな少年に気付かず話を進める男達。
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