ぬらひょん

□チョコ+酒=??
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リクオの登校は早い。

毎朝誰よりも早くに登校すると黒板を綺麗に拭き、花瓶の水の取り替え、トイレへと赴きペーパーの補充をしたりと良い人間振りを発揮するのに余念がない。
その他にも様々な雑務を熟し終え、教室へ戻って来る頃には大抵の生徒が登校している時刻となっている。

今日もいつもの様に雑務を片し、教室に戻ってきたリクオ。
常ならば一番に駆け寄って来るのは雪女のつららであるのだが、今日は違っていた。


「おはよう!!マイファミリー奴良くん!」


テンション高く声を掛けてきたのは同級生の清継だった。
彼は小学校からの腐れ縁で、百鬼夜行の主に憧れを抱いたが故に、中学校に上がってすぐに友を巻き込み"清継探偵団"なるモノを設立した変わり者である。

日夜妖怪の事を学び、妖怪の何たるかを知ろうと躍起になる姿は異様とも言える。
だが本人は周りの目等気にする事なく努力し続けるのだ。
そう、総ては百鬼夜行の主・ぬらりひょんに会いたいが為に…。

だがしかし、案外近くにその捜し人が居るにも拘わらず、哀れ清継少年は気付く事すら出来ないのだが…。


「おはよう、清継くん。どうしたの??」
「奴良くん!今日が何の日か分かっているかい!?」
「今日??」
「そう!今日はバレンタインデーさ!!」
「あぁ、そうだね」


また突拍子もない事を言い始めた清継に、いつのも事だと差して気にはせず、リクオは相槌を打つ。


「と、言う訳で!我がファミリー達に配っているのだ!奴良くんにも当然あげるからね!!」
「???」
「ブランド物のチョコレートだよー!!」
「…へ?清継くんが僕にくれるの??」
「勿論だとも!やはりファミリーは大切にしないとね!だからバレンタインデーにはマイファミリーへチョコを渡すのさ!!」


熱く語る清継と、差し出されるチョコレートを見比べるリクオ。


『清継くんは家族思いなんだなぁ』


妙に感心し、丁重に礼を述べ受け取ったチョコレート。

ブランド物だと言うだけあり、包装紙からして豪華で華やかである。



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