リボ〜ン

□幼き日の追憶T
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ミーンミンミンミーーン…

蝉の鳴き声が盛んに聴こえてくる夏真っ盛りな八月のある日の事。
時刻は七時と早いものの、気温は随分と上がっており、今日も暑くなる事を物語っていた。

「ぅ、ん…むぅ、あさ…?」

二階の一室。
ベットの上に、もぞりと起き上がり、眠い目を擦りながら独り言を言うのは、この家の長男である綱吉であった。

「ねむ…うぅ、あさがおにみず、やんなきゃ…」

そう言うと、昨晩母・奈々に用意してもらった洋服へと着替え始める。
小さな手で、一生懸命ボタンと格闘し、何とか着替えをし終えると、階段を降りる為部屋の外へと出た。
すると階下から物音が絶えず聞こえてくる。

「ママ…とパパ?」

パタパタとトントンと言う音は奈々だろうと察しを付けたものの、ドタドタやバッタンバッタンと言う音には、家光がまた変な事をしているのかと不信がりつつ階下へと降りて行く。
すると、階下には奇妙な光景が広がっていた。


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