□結界師□

□後悔
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今よりまだ幼かった頃、兄 正守を傷付けてしまった事があった。
それが切っ掛けで、出来が悪い振りをするようになった良守は、必然的に時音の前でもそうせざるを得なくなってしまった。
しかし、毎晩の様にやって来る妖を殆んど時音に押し付けていると言っても過言ではない形に、良守は申し訳なさと、危機感を抱いていた。
いくら、正守を傷付けない為だとはいえ、それにより時音を危険に晒して良い訳ではない。
どうにか、時音に理由を話し、理解してもらった上で内緒にしてもらわねばならない。

「時音、わかってくれるかな……っ!?」
「っ!良守!!」

良守と斑尾は、同時に烏森の異変に気付く。
敷地に張られた結界を妖が通ったのだ。
その気配を探れば、危惧していた事態が起きてしまった事に気付いた。

「くそっ、マズイのが来ちまった!」
「幸い、ここから近い!直ぐに滅せれば大丈夫だよ!」

斑尾の言う通り、良守達の居る場所から、そう離れていない所に侵入した妖は居た。
弱々しい邪気を放つ妖は、見た目は幼い少女の姿をし、他の妖にやられたのか、左の脇腹には血が滲んでいる。
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