銀魂

□鬼神阿修羅
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真剣を構え、天人目掛けて振り下ろす。
一人斬る度に着物の裾や身体に血糊がついていく。
一段落してからその不快感に眉を顰(ヒソ)めるも、拭っている暇は与えては貰えない。
次から次へと襲ってくる天人達…切りのない戦いがあてどもなく続く。
陽が真上に来る頃には、全身に血糊が貼り付いていた。

「ハァハァッ…そろそろ帰りの方に向かわないと…」

天人と戦ううちにどんどんと救護施設から離れてしまっていた新八は、陽の位置から、もうそろそろ帰りの方へ向かわないと夕刻に間に合わないと察し、来た方向へと帰ろうとした。

しかし、既に新八は行っては行けないと言われた土地に足を踏み入れていた事に気付かなかった…。

新八が踵を返そうとしたその場より少ししか離れていない場所には、昨夜先輩隊士達に聞いた人物達が、数多の天人を相手に劣勢の中、戦っていたのだ。

白い羽織りを天人の血で赤く染める白銀の鬼、長く綺麗な黒髪をたなびかせる鬼、誰よりも躊躇なく天人を切り捨てる鬼、全身キッチリ鎧を身に着けた鬼、四人の眼光鋭い鬼達が敵味方の区別がなくなり、冷たくモノ言わなくなった、多くの屍の上で時に舞う様に敵の天人を切り捨てていた。



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